子宮摘出手術の種類や特徴は?術後の影響はどの程度?

子宮摘出手術の種類や特徴は?術後の影響はどの程度?
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子宮は、女性の証しとも言われる代表的な臓器。もし、その子宮を摘出しなければならないとしたら・・。そのショックは計り知れません。

「私の身体はどうなってしまうの?」「女じゃなくなっちゃうの?」と、喪失感を感じてしまう人も多いでしょう。

子宮を摘出した場合、最も大きな違いとして挙げられるのが、「妊娠できなくなる」「生理がなくなる」という2点です。

確かに、受精卵を育んでこの世に産み落とすのが、子宮の最たる役割ではありますが、子宮と言えば女性としてのシンボル的存在。術後の影響についても気になりますよね。

実は、同じ子宮摘出手術でも、切除する範囲によって後遺症は違ってくるんです。今回の特集では、子宮のみを摘出する場合と、周辺組織も一緒に摘出する場合に分けてご説明しましょう。

どんな時に子宮摘出が適応されるの?

まずは、どんな時に子宮摘出手術が適応されるのか、確認してみましょう。

▼子宮摘出が適応されるケース

  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症
  • 子宮線筋症
  • 子宮脱(骨盤臓器脱)
  • 酷い生理痛
  • 経血量が多く、日常生活に支障が出るほどの貧血
  • 子宮ガンや子宮肉腫などの悪性腫瘍

子宮摘出と聞くと、命に関わる深刻なケースに限られると思われがちですが、意外と良性腫瘍に対して適応されるケースも少なくありません。

要因が違えば、手術の術式や後遺症の範囲も違ってくるんですよ。

「子宮摘出」を摘出範囲で分類!

一口に「子宮摘出」と言っても、要因となる病気の種類や症状によって、摘出範囲は異なります。ここでは、摘出範囲が小さい順にご説明しましょう。

単純子宮全摘出術

子宮のみを摘出する手術を、医学的に「単純子宮全摘出術」と言います。

周辺臓器をまとめて摘出する「広汎子宮全摘術」に比べて、格段に後遺症が少ないのが特徴です。

子宮筋腫や子宮内膜症、転移の危険性がなく患部の範囲が明らかに特定されている場合に適応され、卵巣や膣などの周辺部位に影響はありません。

ちなみに、転移性のある悪性腫瘍であっても極めて初期の段階であれば、適応されるケースもあります。

広汎子宮全摘術

悪性腫瘍が要因となる場合は、周辺臓器への浸潤やリンパ節などへ転移する可能性があります。

つまり、根治を目指すには、残存がないように広範囲を切除しなければなりません。

その人の進行状態にもよりますが、子宮本体に加えて膣の一部、卵巣や卵管、骨盤内のリンパ節などが摘出の対象となります。

このように、切除する対象が広範囲に及ぶ分、術後の合併症や後遺症も多肢に渡るのが「広汎子宮全摘術」の特徴です。

骨盤内臓全摘術

悪性腫瘍が子宮だけに留まらず、尚且つ女性器以外にも浸潤していると判断された場合に適応されるのが、「骨盤内臓全摘術」です。

子宮本体に加えて、膣や下部結腸、直腸や膀胱にまで摘出の対象となります。

術後の対応としては、人工肛門や造膣術、人工的に尿路を再建する回腸導管などの形成外科手術が必要となりますので、最も後遺症が重いタイプと言えるでしょう。

「子宮摘出」をアプローチ別に分類!

子宮摘出手術には、大きく分けて「開腹手術」「膣式手術」「腹腔鏡下手術」の3種類に分類されます。

それぞれのメリットやデメリット、適応されないケースなどについて把握しておきましょう。

開腹手術

広範囲を摘出する場合に最も適しているのが、「開腹手術」と言えるでしょう。

腹部を大きく切開する分、患部の状態が視認しやすく、子宮以外の臓器への影響も見極めやすいので、術前検査で分からなかった問題点に気付ける事も少なくありません。

また、摘出する患部の大きさに関わらず適応できる、短時間で済むというのも見逃せないメリットです。

但し、腹部に大きな傷跡が残ってしまうので、敬遠する女性も少なくありません。

加えて、回復に時間が掛かるので、入院期間が長引くタイプの術式として知られています。

膣式手術

膣から手術器具を挿入して子宮を摘出する方法を、「膣式手術」と言います。

腹部に傷痕が残らないので、女性にとっては術後のコンプレックスが軽減される術式と言えるでしょう。

また、開腹手術と比較して、痛みが少なく術後の早期回復が見込めるのも大きなメリットです。

但し、視界が限られている分、執刀医の力量によって成功率が違ってくるのが難点。

膣式手術を受ける場合は、担当医の執刀件数や成功率などを確認した方が良いでしょう。

開腹手術に比べて、手術時間が長くなるのもデメリットの一つで、場合によっては適応できないケースもあります。

▼膣式手術が適応できないケース

  • 腹腔内に癒着がある
  • 筋腫が大きく、子宮が肥大している
  • 子宮以外の臓器を含めた、広範囲の切除

膣式手術中に「患部が見えない!」「悪性腫瘍が残ってしまう!」と判断された場合は、開腹手術に切り替えられる事も珍しくありません。

腹腔鏡下手術

「腹腔鏡下手術」は、腹部に空けた小さな穴から内部を映し出すカメラを挿入し、患部を確認しながら進める術式です。

開腹手術より傷痕が小さく、膣式手術より緻密な施術が可能となりますので、両方のメリットを合わせ持った術式と言えるでしょう。

膣内操作が難しいケースでも、腹腔鏡を組み合わせる事で、膣式手術の精度を向上させる補助手段としても用いられています。

但し、膣式手術と同様に対応できる範囲が限定的で、手術時間が長くなるというデメリットもあります。

子宮のみを摘出した場合の後遺症とは?

子宮摘出の手術を受ける女性にとって、不安要素は手術に対してだけではありません。

とは言え、「広汎子宮全摘術」や「骨盤内臓全摘術」に比べて最も後遺症が少ないのが、子宮のみを摘出する「単純子宮全摘術」なんです。

子宮を摘出したら「女」じゃなくなるってホント?

子宮を摘出すると、二度と妊娠する事はありませんし生理も無くなります。

その為、「子宮を取ったら女じゃなくなるの?」と感じる女性が多いようですが、子宮を摘出しても女性である事に変わりはありません!

確かに、子宮を摘出すると子宮内膜が生じませんので生理がなくなります。

ですが、そもそも子宮自体にホルモンの分泌機能はありませんので、卵巣さえ残っていれば女性らしさに影響する事はないのです。

もちろん、日常生活に支障もありません。

逆に、「生理の不快感から解消される!」「子宮ガンになるリスクがゼロになる!」とうメリットもあるんですよ。

性生活に満足できなくなるってホント?

性生活に影響を及ぼす部位は「膣」ですから、子宮のみを摘出した場合は性生活に影響しません。

単純子宮全摘術の場合、膣の上端部にある「膣円蓋部」と子宮を切り離す事になります。

つまり、手術で膣の長さが短くなる、もしくは膣が傷つかない限り性機能に影響は出ないのです。

但し、物理的な影響とメンタル的な影響は別物。子宮を摘出するという事は、女性にとってショッキングな出来事です。

術後に、「セックスへの恐怖感を感じるようなった!」「性欲が減退した!」という女性も少なくありません。

更年期が早まって老け込むってホント?

更年期への恐怖は、子宮を摘出した女性にとって最も大きな不安要素と言っても過言ではありません。

それは、子宮を摘出した事で「女性としての自信が持てなくなった!」と感じる人が多いからでしょう。ですが、これは大きな誤解です!

更年期とは、加齢によって女性ホルモンの分泌が乱れて起こる現象ですから、ホルモン分泌機能を担っている卵巣さえ残っていれば、更年期が早まる事はありません。

事実、芸能界で活躍している女優さんやモデルさん、タレントさんの中にも子宮摘出手術を体験した人は大勢います。

子宮を摘出したからと言って、人より早く老け込むという心配は無用です。

お腹に空洞ができるってホント?

子宮を摘出すると空洞が出来て太りやすくなるのでは?と不安になる人も多いでしょう。

確かに、学校の授業で目にした生体模型では、パーツがくっきり分かれていますので、そう感じてしまうのも無理もありません。

とは言え、生きている人間の内臓は生体模型のように単純明快ではなく、複数の臓器が流動的に存在しています。

子宮を摘出した後に空いたスペースは、周囲の臓器で埋まりますので空洞にはなりません。

子宮以外の臓器も摘出した場合の後遺症とは?

子宮だけを摘出する場合と比較して、より深刻な後遺症が懸念されるのが、周囲の臓器を一緒に摘出した場合です。

摘出する範囲によっても影響の度合いが違ってきますが、ここでは代表的な例を取り挙げてみましょう。

性機能障害の可能性は?

性機能障害を引き起こす要因となるのが、「膣」へのダメージです。

筋肉で出来ている膣は、子宮から続いている臓器で、10㎝~13㎝ほどの長さがありますが、子宮を摘出する時に一緒に切除されるケースが、数多く見受けられます。

切除する膣の長さは、その人の症状や術式によって異なり、膣全体に及ぶ場合と数㎝のみ切除する場合に分けられます。

  • 膣全体を摘出した場合・・・形成外科手術による「造膣術」を行う。
  • 膣の一部を切除した場合・・・短くなった事で性生活に影響はありません。

たとえ、膣の長さが短くなったとしても、一般的に数ヶ月で収縮力が回復しますので、性行を重ねるに連れて術前と同じような感覚が戻ってきます。

性生活に痛みはあるの?

子宮を摘出した時に膣の一部を切除した場合は、縫合によって縫い合わせを行います。

その為、始めのうちは多少の痛みを伴いますが、回数を重ねるにつれて膣の伸縮率が増し、徐々に痛みが和らいでいくでしょう。

また、片方もしくは両方の卵巣も摘出した場合は、分泌物が減少し摩擦が生じてしまいますが、性交渉いよって縫い合わせた傷口が開いてしまうというケースはほとんどありません。

最近では、安全性に優れた性交用の潤滑油も市販されていますので、こういったアイテムを活用してみるのも一つの方法です。

また、強まってしまった摩擦によって出血するケースも見受けられます。

一般的に、少量であれば自然に治癒していきますが、出血が続く場合は担当の医師に相談してみましょう。

術後に性生活を始める時期は?

傷口の回復度合いにもよりますので、担当医に相談してからトライする方が安心でしょう。

特に、術後に女性器に対して放射線治療を受けた場合は、熱感を感じたりヒリヒリとした感触を伴うケースが見受けられます。

このような自覚症状が残っているなら、ムリに挑戦する必要はありません。

逆に、長期間に渡って性交渉を避けていると、膣の伸縮力が低下してしまいます。術後の性交渉は、深く挿入されないような体位でゆっくりとしたペースで行い、徐々に慣らしていくのが理想的です。

術後の性交渉に不安を感じる理由には、痛みへの恐怖心はもちろん、女性としての自信を喪失してしまうなどのメンタル的な側面もあるでしょう。

あまり考えすぎてしまうと、メンタル的なダメージにより分泌物の量が減少し、さらに摩擦を強く感じてしまう、という悪循環を引き起こしてしまいます。

体力の回復を待ち、精神的なゆとりが取り戻せた時に、パートナーと相談しながら始めてみましょう。

排尿障害の可能性は?

「広汎子宮全摘術」や「骨盤内臓全摘術」を受けた場合、膀胱自体を摘出したり、術中に排尿機能に直結する神経を傷つけてしまう事があり、排尿障害のリスクが高いと言われています。

▼排尿リスクの種類

  • 尿意を感じない・・・膀胱に尿が溜まっているにも関わらず、尿意を感じない
  • 排尿できない&残尿感がある・・・膀胱内の圧力が高まり、背中や腰が痛くなる
  • 尿が漏れる・・・尿意→排尿のコントロールが効かなくなる

子宮と一緒に膀胱を摘出した場合は、人工的に尿道を作る形成外科的処置が必要となります。

また、術中に尿意機能に関わる神経がダメージを負った場合は、排尿障害のリハビリテーションによって、自然排尿が可能となるケースも少なくありません。

更年期が早まる可能性は?

更年期は、女性ホルモンの分泌と深い関わりがあります。その為、子宮と一緒に両方の卵巣を摘出した場合は、更年期が早まる可能性が否めません。

ですが、片方の卵巣だけでも健康な状態で残っていれば、残った方の卵巣が失われた卵巣の機能を補ってくれると考えられています。

2012年に発表された日本人24,152名を対象にした調査では、興味深い結果が報告されています。

  • 片側の卵巣を摘出した女性の閉経年齢・・・50.9歳
  • 卵巣摘出の経験がない女性の閉経年齢・・・52.1歳

つまり、片方の卵巣さえ残っていれば、わずか1.2歳のみ閉経が早まるという事になりますね。

確かに、子宮を摘出した事で生理が止まりますが、目に見えない卵巣で女性ホルモンが分泌され、更年期の到来を抑制してくれている、と考えられています。

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