位置も違えば形も違う!子宮や子宮口には個人差があった

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ほとんどの女性が、自分の子宮は標準タイプよ!と漠然と思っているでしょう。

ですが、女性だからと言って無条件に標準的な子宮とは限りません。

事実、一般女性の4人に1人は子宮の向きが逆方向になっている「子宮後屈」に、100人に5人程度は「子宮奇形」の疑いがあると言われているんです。

更に、婦人科の診察で下記のような指摘をされた女性もいるんですよ。

  • 通常より右寄りの子宮ですね!
  • 子宮が2つありますね!
  • 子宮口が、極端に左に寄っていて奥まで見えません!
  • 子宮の入り口が小さすぎて、綿棒さえ入りませんね!
  • 通常は寝ている子宮が、立っていますね!

などなど・・ちょっと首を傾げたくなるような診断を受けて、戸惑っている女性も多いんです。

そこで今回は、正常子宮と異なる子宮の形や位置、状態について気になる情報をピックアップしてみました。

ちなみに、子宮口の変化から次回の生理日を予測したり、妊娠しているかどうかも分かるんですよ。

そもそも子宮の位置って決まっているの?

人間の臓器というのは、ある程度の位置関係は決まっているものの、ジグソーパズルのように隙間なくパーツが並んでいる訳ではありません。

1つの臓器が単体で存在する事はできませんから、周囲の臓器や筋組織によって支えられながら、一定の範囲内で移動したり傾いたり出来る仕組みになっており、この範囲を「生理学的可動範囲」と言います。

そして、数ある臓器の中でも特に「可動性」に富んだ臓器と言われているのが、今回のテーマである「子宮」なんです。

では、子宮が動いても問題にならない生理学的可動範囲とは、どのような配置になっているのでしょうか?

【 子宮の生理学的可動範囲 】

  • 位置:骨盤内のほぼ中央
  • 前側:膀胱
  • 後側:直腸
  • 下側:骨盤低筋

注目すべきは、「膀胱」や「直腸」という充満状態によって大きさが変化する臓器に囲まれているという点でしょう。

周辺臓器の変化に合わせて前後に傾きを変えて対応できるように、余裕を持ったスペースが確保されているんですね。

もちろん、一時的に子宮の位置が傾いたり上下左右に移動したとしても、通常であればすぐに生理学的可動範囲の内側に戻ってきます。

例えるなら、一種の「形状記憶」と考えると分かりやすいかもしれませんね。

ところが、この生理学的可動範囲から逸脱して戻って来られない場合、「子宮の位置異常」と診断されるんです。

正常子宮は「向き」も決まっている!

正常子宮には、生理学的可動範囲に留まっているかどうかという点に加えて、「向き」にも定義があるんです。

通常の子宮は、腹部に向かって前のめりに倒れているような向きになっており、これを「子宮前屈」と言います。

軽くお辞儀をしているような状態と言った方が、イメージしやすいかもしれませんね。

子宮の位置異常その1:子宮後屈

子宮の位置異常には様々な種類がありますが、その代表格と言われているのが「子宮後屈」でしょう。

本来、腹部側に向かって傾いているべき子宮が、背中側に傾いてのけ反っている状態を「子宮後屈」と言い、20%~30%の女性に見られる比較的メジャーな子宮の位置異常です。

子宮後屈は、その性質上の特長から下記の2種類に分類されています。

【 子宮後屈の種類 】

  • 可動性:生まれつきの体質であり、自覚症状や障害がほとんど現れない
  • 癒着性:何等かの疾患に影響されており、治療で改善が見込めるケースもある

子宮後屈の中には、月経痛や性交痛などの自覚症状が現れたり、不妊治療の対象になるケースも報告されています。

子宮後屈については「子宮後屈に関する疑問を解決!妊娠しにくいってホント?」で詳しくご紹介しています。

子宮の位置異常その2:子宮下垂と子宮脱

子宮の向きに異常が見られる「子宮後屈」に対して、子宮の位置そのものに異常が見られるのが「子宮下垂」や「子宮脱」でしょう。

どちらも、本来おさまっているべき生理学的可動範囲より下方向へ移動し、自力では戻って来られないという共通点があります。

【 子宮下垂と子宮脱の特長 】

  • 子宮下垂:下方向へ下降しているが、腟外には出ていない
  • 子宮脱:下方向への下降が顕著で、一部もしくは全体が腟外に出ている

状態が進行してしまうと、排尿障害に繋がる「膀胱脱」や排便障害に繋がる「小腸脱」を併発するケースが多い反面、治療法の選択肢が多いという点も見逃せない特長でしょう。

子宮下垂と子宮脱については「経産婦によく見られる子宮下垂と子宮脱の症状について」で詳しくご紹介しています。

産婦人科に寄せられたQ&A

最近では、女性特有の悩みについて回答してくれる産婦人科が増えているようですね。

中には、子宮の位置や状態に関する質問も数多く見受けられます。

そんなやり取りの中から、気になるQ&Aをピックアップしてみました。

子宮口の「右寄り」や「左寄り」って異常なの?

【 質問 】

  • ガン検診を受けた時に指摘された
  • 子宮の入り口が極端に左に寄っており、よく見えないと言われた
  • 子宮の入り口が極小で、綿棒さえ入らない
  • この状態で妊娠・出産は望めるのか?

【 回答 】
▼産婦人科 長尾クリニック(広島市)

  • 子宮口が上下左右にズレている女性は、珍しくない
  • 子宮口が上下左右にズレていても、決して異常ではない
  • 医療器具を挿入する時に、的確に子宮口を正面に向けられるかどうかは診察者の力量
  • 妊娠・出産に対する悪影響は考えにくい

但し、子宮口や子宮頚管の位置や大きさは、将来的な妊娠や出産への影響とは無関係ではあるものの、全ての女性に等しく難産や帝王切開の可能性があると指摘されています。

ちなみに、子宮本体が生理学的可動範囲内で右寄りもしくは左寄りだったとしても、医学的には異常ナシと判断されるんだとか。

実際、内診やエコー検査などで左右どちらかに偏っていると診断されたからと言って、特別な治療法もなく体質と判断されるのが一般的とされています。

子宮が立っている!?

【 質問 】

  • 下腹部に痛みがあり、婦人科の診察を受けた
  • エコー検査の時に指摘された
  • 通常は「寝ている」子宮が「立っている」と言われた
  • 同じような指摘を受けた女性が3度も流産した話を聞いて不安になった
  • この状態は流産しやすいのか?

【 回答 】

▼医療法人社団正寿会 秋山記念病院(北海道)

  • 超音波断層で診断された「子宮が立っている状態」とは、著しい「前屈状態」と同義
  • 著しい前屈状態とは、子宮の位置状態を表しているにすぎない
  • 病的な意味は全くなく、流産との関連性も考えにくい

子宮が変な方向を向いている!?

【 質問 】

  • 胃のあたりに我慢できないほどの痛みを感じ、婦人科の診療を受けた
  • 通常の人とは違って、「子宮が変な方向を向いている」と言われた
  • 子宮の向きが通常と異なるため、経血が一度に排出されず胃痛が生じていると言われた
  • 妊娠すれば、子宮の向きは正常方向に治ると言われた

【 回答 】
▼医療法人社団正寿会 秋山記念病院(北海道)

  • 上記の内容から推察すると、「子宮後屈」に該当すると考えられる
  • 子宮後屈の多くは病変ではなく「個人の特長」と解釈できる
  • 不妊や月経痛の原因を、子宮後屈に限定する事はできない
  • 不正出血の原因は、排卵周期の乱れによる場合が多い
  • 腹痛の原因が、月経血の滞留とは考えにくい
  • 内診で子宮に圧痛があれば、子宮の炎症によって胃痛が生じる場合もある
  • 内診で子宮に圧痛が無い場合は、「胃痙攣」や「消化管の痙攣」を考慮すべき

但し、これらの質問に対する回答は、あくまで推察もしくは可能性を提示しているだけで、確定診断ではありません。

より正確な診断を希望する場合は、セカンドオピニオンとして別の産婦人科で再診してもらった方が良いでしょう。

そもそも子宮の形に決まりはあるの?

婦人科健診や妊娠検査の際に、「子宮の形が変形しているようですね!」と指摘される女性も少なくありません。

子宮の形や大きさには個人差があるものの、一般的には下記のような状態が正常と判断されます。

【 正常子宮の特長 】

  • 子宮本体の大きさ:ニワトリのタマゴくらい
  • 子宮本体の体積:平均で長さ7cm×幅4cm×厚さ3cm程度
  • 子宮本体の形状:三角形もしくは洋ナシを逆さにしたような形
  • 平面図:左右の形状が対象になっている
  • パーツ:1つの子宮に、子宮内腔・子宮口・膣が1つずつある
  • 子宮口の形:10円玉のように中心に小さな穴が空いている
  • 子宮口の構造:中心の小さな穴から、子宮の奥に通じる子宮頚管に繋がっている

形が変形している「子宮奇形」とは?

正常子宮と比較して、形状が変形していたり一部が欠損している「子宮奇形」は、決して珍しい症例ではありません。

日本産科婦人科学会が公開している統計によると、一般女性の3.8%~6.7%に見られるという結果が報告されています。
つまり、20人の女性に1人は当てはまる計算になるんです。

しかも、子宮形態異常とも呼ばれる子宮奇形は、代表的な種類だけでもかなりのタイプが挙げられています。

【 代表的な子宮奇形 】

  • 低形成および欠損型:膣型/頚管型/子宮底型/卵管型/複合型
  • 単角子宮:子宮の形成が未完成もしくは、子宮の片方が欠損している状態
  • 重複子宮:独立した子宮と子宮口、膣が2つずつ存在している状態
  • 双角単頸子宮:子宮本体がハート形になっており、尚且つ子宮内腔がくびれている状態
  • 双角双頸子宮:1つの子宮の中に、子宮内腔と子宮口が2つずつ存在している状態
  • 中隔子宮:子宮の形状は正常ですが、子宮内腔に中隔と呼ばれる壁が存在している状態
  • 弓状子宮:外観が「弓」のように膨らみ、子宮内腔の上部が少し窪んでいる状態
  • DES薬剤関連奇形:子宮内腔がT型に変形しており、ホルモン剤の服用で生じる

子宮奇形のリスクとしては、不妊や不育症、流早産などのリスクが指摘されている一方で、全ての子宮奇形に当てはまる訳ではありません。

リスクや自覚症状の程度は、子宮奇形の種類によって異なります。

生理周期によって子宮口の位置が変化する!?

子宮という臓器は、24時間いつも同じ位置に固定されている訳ではありません。

たとえ正常な子宮であっても、生理学的可動範囲の中で常に漂っている状態とも言えるのです。

加えて、生理の周期に合わせて子宮口の位置が変化するという特長も解明されています。

それは、子宮が担っている役割に大きな影響を受けているからなんです。

【 生理周期による子宮口の変化 】

  • 生理の前:生理の時期が近付くにつれて、子宮口が下がってきて経血の排出を助ける
  • 生理の後:経血を体外に排出する必要が無くなるので、子宮口の位置が高くなる
  • 排卵期:一度は高い位置に戻った子宮口が、再び下がってきて受精を助ける

このように、経血の排出や精子との受精をサポートする為に、子宮の位置が変化すると考えられています。

子宮口の位置を妊活に役立てる「福さん式」!

妊活中の女性であれば、一度は「福さん式」という言葉を聞いた事があるでしょう。

福さん式とは、元助産師の福さんが公開している排卵日測定法で、子宮口の位置の変化やオリモノの変化から、より正確な排卵日を予測するスキームなんです。

但し、福さん式は自分の指を使って直接子宮口を内診しなければなりません。

本来であれば、医療従事者が行うべき内診を素人である女性がセルフで行う訳ですから、必ずルールを守って慎重に行いましょう。

子宮口の変化で妊娠が分かる!?

妊娠した女性の身体には、妊娠前とは比べものにならないほどの変化が現れますが、子宮口の位置もその変化の一つに含まれているのをご存知でしょうか?

ここでは、子宮口の「位置関係」と「柔らかさ」の2点についてご紹介しましょう。

【 妊娠前と妊娠後の位置関係 】

  • 妊娠前:生理周期によって位置が変化し、指を挿入すると触れられる時期もある
  • 妊娠後:外部から隔離するように子宮口の位置が高くなり、指を挿入しても届かない

上記の変化から、パートナーとの性交渉中に妊娠の可能性に気付いた!という女性も居るんですよ。

【 妊娠前と妊娠後の柔らかさ 】

  • 妊娠前:「鼻の頭」程度の硬さ
  • 出産直前:「唇」程度の柔らかさ

上記のように子宮口の柔らかさが変化するのは、胎盤から分泌される女性ホルモンが影響していると考えられています。

つまり、出産日が近づくにつれて女性ホルモンの分泌が活発になり、子宮口を柔らかくさせて分娩をサポートしているのでしょう。

たとえ、産婦人科の検診で「子宮口が小さい」「子宮頚管が細い」といった指摘を受けたとしても、必ずしも難産になるとは限らないのです。

ちなみに、妊娠中の子宮は下記のように膨らんでいくと言われています。

【 妊娠前と妊娠後の子宮 】

  • 長さ:7cm→30cmくらいまで伸びる
  • 幅:3㎝→25cmくらいまで広がる

誰もが正常子宮とは限らない!

妊娠・出産を希望する女性は、どうしても婦人科系のトラブルに敏感になりがちですよね。

とは言え、たとえ「子宮が後に傾いている」「子宮の一部が変形している」と診断されたからといって、必ずしも不妊や妊娠中のリスクと直結する訳ではありません。

子宮後屈であろうと子宮奇形であろうと、自然に妊娠して経膣分娩で出産している女性は、大勢いるんです。

その証拠に、妊娠するまで子宮の状態に気付かなかった!というケースも珍しくありません。

まずは、ご自分が置かれている状況を正しく理解し、担当医と相談しながら対策を立てましょう。

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