陰部に謎のしこりが!細菌感染症から悪性腫瘍まで考えられる可能性

陰部に謎のしこりが!細菌感染症から悪性腫瘍まで考えられる可能性
  • Twitter
  • hatena
  • facebook

婦人科系の病気は、何かと人に相談し辛いものですが、陰部にできる「しこり」もその一つでしょう。

出来てしまう場所が場所だけに、市販の軟膏を塗ってやり過ごそうと試みる女性も少なくありません。

しこりを伴う陰部の疾患には、どのような種類があるのでしょうか?

【 陰部にしこりが出来る代表的な疾患 】

  • 粉瘤(アテローム)
  • 尖圭(せんけい)コンジローマ
  • バルトリン腺嚢胞(のうほう)
  • バルトリン腺膿瘍(のうよう)
  • 毛嚢炎(もうのうえん)
  • 外陰潰瘍(かいよう)
  • 外陰脂肪腫
  • 外陰ガン

一言で「しこり」と言っても種類は様々で、疾患ごとにしこりの特徴や自覚症状も違いますし、治療法や放置した時のリスクにも違いがあります。

どうしても病院に行く勇気がない!という場合は、ご自分の症状がどの疾患に当てはまるのか、確認してみましょう。

治療の必要性が、実感できるハズですよ。

粉瘤(アテローム)

粉瘤(ふんりゅう)は、しこりを伴う陰部の疾患の中でも非常にメジャーで、類似する疾患全体の60%以上に該当するという病院もあるほどです。

脂肪の塊りと思われがちですが、正しくは皮下に溜まった角質や皮脂によって、良性のしこりが形成されています。

【 粉瘤の種類 】

  • 表皮嚢腫:毛穴の上方部分がめくれ、皮膚下に袋状構造物ができる
  • 外毛根鞘性嚢腫:表皮嚢腫に比べてやや硬い
  • 多発性毛包嚢腫:一カ所に複数発症し、内容物は淡い黄色で臭いがしない

粉瘤の症状や特徴

粉瘤が出来やすい場所、しこりの形状や自覚症状には、どんな特徴があるのでしょうか?

【 できる場所 】

  • 外陰全体

粉瘤には、外陰部をはじめ毛穴のない掌や足の裏にもできるという特徴があります。

【 しこりの形状 】

  • しこりの色:中央に黒点状の開口部が見られる事がある
  • 大きさ: えんどう豆大~鶏卵大まで様々
  • 形状:表面は滑らかで、柔らかい半球状のしこり
  • 発症数:通常は単独か数個までですが、無数に出来る多発性毛包嚢腫もある

強く圧迫すると、悪臭を伴う黒いネリ状の膿物質が出てくるのも特徴で、化膿すると自然に破裂する事もあります。

【 自覚症状 】

  • 細菌に感染していない場合:痛みや痒みがない無症状
  • 細菌に感染している場合:赤く腫れ上がり痛みを伴う(化膿性粉瘤)

粉瘤のしこりは、あくまで良性腫瘍ではあるものの、感染を繰り返したり陰部を覆うほど肥大するケースも少なくありません。

粉瘤の治療法

粉瘤のしこりは、単純に潰すだけでは根治しないので自然治癒は望めません。

粉瘤を根治させるには、しこりの中に溜まった物質を排出するだけでなく、袋状の本体を取り除く手術が必要です。

  • 強い炎症を伴う場合:切開によって膿を取り除き、痛みを緩和する
  • 痛みを伴わない場合:緩和治療を飛ばして、切除手術で本体を摘出する
  • 傷痕を残したくない場合:縫合しない「へそ抜き法」で本体を摘出する

しこりが巨大化していなければ、局所麻酔で日帰り治療も可能です。

「へそ抜き法」や「くり抜き法」ではなく、レーザーで仕上げることで傷口を目立たなくする術式も注目されています。

粉瘤を放置するリスク

確かに、痛みのない粉瘤のしこりに対して、「放置しても問題ありません!」と回答する皮膚科医も存在しますが、進行してしまうと下記のようなリスクが伴います。

  • 細菌に感染し、痛みを伴う化膿性粉瘤に進行する
  • 患部が破れて、化膿した膿が出て来る
  • 多発性毛包嚢腫の場合、石灰化しやすい
  • ごく稀に、ガン化する事がある

感染して痛みを伴うようになると、場所が場所だけに「歩くのも辛い!」という患者さんも多いようです。

尖圭(せんけい)コンジローマ

性感染症(STD)の一種である「尖圭コンジローマ」は、性交渉の経験がある女性なら誰もが感染・発症する可能性がある疾患です。

尖圭コンジローマの要因は、100種類以上あるHPV(ヒトパピローマウイルス)の中でも粘膜型である「HPV6型」や「HPV11型」、「HPV16型」とされています。

性交渉時に分泌される粘膜を介して感染しますので、パートナーに移してしまう危険性が高いのも、特長の一つです。

尖圭コンジローマの症状や特徴

尖圭コンジローマが出来やすい場所、しこりの形状や自覚症状には、どんな特徴があるのでしょうか?

【 できる場所 】

  • 大小陰唇
  • 腟前庭
  • 会陰
  • 肛門のまわり
  • 肛門の内側
  • 尿道口
  • 子宮頸部

尖圭コンジローマは、ウイルスに感染してからイボやしこりが出来るまでの潜伏期間が長く、個人差がある性感染症です。

ウイルスが感染してから3週間~8ヵ月、平均して2.8ヵ月ほどの潜伏期間を経て、はじめてイボとして現れてきます。

その為、誰から感染したのか?いつ頃感染したのか?を突き止めるのが難しい疾患なんです。

【 しこりの形状 】

  • しこりの色:白/ピンク/褐色(黒っぽい茶色)/黒色
  • 大きさ:小さいモノは1mm~3mm程度、大きいモノは数cmほど
  • 形状:乳首のような乳頭状/ニワトリのトサカ状/カリフラワーのような形

「湿ったイボ」というラテン語がコンジローマの語源となっている通り、「しこり」というよりも「イボ」や「おでき」という表現の方がしっくりくるようです。

【 自覚症状 】

  • 小さいしこり:無症状
  • 大きなしこり:痒みや痛みを伴う

患部が大きくなると痒みや痛みを伴う事もありますが、しこりはあるものの自覚症状は感じられない!というケースがほとんどです。

尖圭コンジローマの治療法

尖圭コンジローマの治療法は、大きく「投薬治療」「外科的治療」「光線力学的療法」の3種類に分類されます。

ちなみに、日本性感染症学会が発行している「性感染症診断・治療ガイドライン」によると、「外用薬の塗布」「凍結療法」「電気メス手術」の3種類が、治療のファーストステップとして推奨されています。

▼投薬治療その1:外用薬の塗布
尖圭コンジローマに有効な外用薬としては、「ポドフェリン液」や「ベセルナクリーム」、「5FU軟膏」や「ブレオマイシン軟膏」などが挙げられます。

但し、しこりが小さい場合に限られますし、外用薬を塗布する時に痛みを感じたり、数日~数週間毎に外来に通う必要があるので、完治まで時間が掛かるという難点も。

2007年からは、自宅で使える「ベセルナクリーム」という外用薬の使用が認可されています。

ですが、使用にあたって注意点が多く、間違った使用法で深刻な副作用を引き起こす危険性もある為、定期的な医療機関での治療を推奨する専門家も少なくありません。

▼投薬治療その2:内服薬
尖圭コンジローマは、再発率が高い事で知られている性感染症です。
この特長を踏まえた上で、体内の免疫力にアプローチするハトムギエキスを用いた「ヨクイニン内服薬」などの漢方薬治療を推奨する皮膚科医も少なくありません。

▼外科的治療その1:凍結療法
液体窒素療法とも呼ばれる治療法で、患部を凍らせる事で病変部の組織を破壊する治療法です。

麻酔の必要はありませんが、一度の治療では根治が難しい為、週に1度のペースで複数回の通院が必要となります。

▼外科的治療その2:電気メス手術
電気メスで病変部を取り除く治療法で、局所麻酔で痛みもなく、初診日に手術できる医療機関も少なくありません。

一度の手術で病変をまとめて切除できますが、再発してしまうケースが多いので経過観察を勧める専門医も少なくありません。

ちなみに、健康保険が適用されますので3割負担ではありますが、9,000円~15,000円程度の手術費用が一般的です。

▼外科的治療その3:炭酸ガスレーザー蒸散手術
炭酸ガスを用いたレーザー光線で、病変部を蒸散させて取り除く手術法です。

電気メス手術と同様に、局所麻酔で痛みがなく日帰りで受けられるというメリットがあるものの、再発リスクも同様に残ります。

健康保険が適応される手術で、自己負担は9,000円~15,000円程度が一般的です。

▼光線力学的療法(PDT)
イボに塗布すると過剰に取り込まれるという「アミノレブリン酸軟膏」の特徴を活かし、ピンポイントで患部に赤色光を照射する事で病変を破壊する治療法です。

【 治療の手順 】

  1. 患部にアミノレブリン酸軟膏を塗る
  2. ラップとアルミホイルで患部を覆う
  3. アミノレブリン酸が患部に吸収されるまで、4時間ほど待つ
  4. ラップとアルミホイルを剥がし、吸収されずに残ったアミノレブリン酸軟膏を拭き取る
  5. 発光ダイオード(LED)の医療機器で、光照射を20分~30分行う

【 従来の治療法との違い 】

  • 一般的な治療法で改善が見られなかったイボに有効
  • 特に、肛門周辺の病変に効果が見られる
  • 約7回の施術で、60%~75%の治癒率が見込める
  • 従来の治療法に比べて、痛みが少ない

尖圭コンジローマを放置するリスク

尖圭コンジローマを放置した場合、下記のようなリスクが伴います。

  • 一つでも残っていると患部が広がっていくリスク
  • 60%~80%の確率でパートナーに感染する
  • 産道を通り時に、赤ちゃんに感染する可能性がある
  • 子宮頸ガンへ進行するリスク

尖圭コンジローマが悪性化する事は滅多にありませんが、複数のHPV型が混合感染している場合は、稀に子宮頸ガンに進行するケースが報告されています。

バルトリン腺炎・バルトリン腺嚢胞・バルトリン腺膿瘍

バルトリン腺とは、性行為の摩擦を抑制する為の粘液を分泌する分泌腺で、大前庭腺(だいぜんていせん)とも呼ばれています。

バルトリン腺開口部は、正面から見た時の5時と7時の位置にあり、左右一対になっているのが特徴です。

【 原因 】

  • バルトリン腺炎:大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌などが侵入して炎症を起こす
  • バルトリン腺嚢胞(のうほう):詰まったバルトリン腺に粘液が溜まる
  • バルトリン腺膿瘍(のうよう):バルトリン腺炎が進行し、管内に膿が溜まる

3種類の疾患は、バルトリン腺炎→バルトリン腺嚢胞→バルトリン腺膿瘍の順に進行していくのが一般的です。

バルトリン腺疾患の症状や特徴

バルトリン腺に関連する3種類の疾患は、どんなところに出来やすく、患部の形状や自覚症状には、どんな特徴があるのでしょうか?

【 できる場所 】

  • 腟の入り口付近
  • バルトリン腺開口部
  • 小陰唇の外側
  • 大陰唇

今回取り上げている3種類のバルトリン腺疾患は、いずれもできる場所が共通しています。

但し、千葉県にある医療法人社団 佐野産婦人科医院によると、どちらかというと左側の開口部にバルトリン腺膿瘍が出来やすい、という特徴が報告されています。

【 患部の形状 】

  • バルトリン腺炎: 爛れたり赤く腫れあがるものの、しこりには至らない
  • バルトリン腺嚢胞:小豆大だったしこりが、進行するに連れてピンポン球ほどになる
  • バルトリン腺膿瘍: 膿が溜まるほど赤みが増し、腫れやしこりが大きくなっていく

嚢胞内で細菌感染が広まりバルトリン腺膿瘍に進行してしまうと、急速にしこりが増大していきます。

場合によってはテニスボール大にまでふくれ上がり、「しこり」というより「コブ」と表現できるほど大きくなってしまう事もあるんです。

【 自覚症状 】

  • バルトリン腺炎:ズキズキとした疼痛
  • バルトリン腺嚢胞: ほとんどの場合は無痛性
  • バルトリン腺膿瘍:性交障害や歩行困難になるほどの激しい痛みや発熱

3種類の疾患の中で最も痛みを伴うのがバルトリン腺膿瘍で、うずくような圧痛や患部が焼けるような焼灼感を感じる事もあります。

バルトリン腺疾患の治療法

初期段階であるバルトリン腺炎の治療には、基本的に投薬治療が適応されますが、進行段階であるバルトリン腺嚢胞とバルトリン腺膿瘍に対しては、外科的治療と投薬治療が併用されます。

▼バルトリン腺炎
バルトリン腺炎の治療は、まず原因菌の特定から始まります。
初期で症状が軽い場合は、組織検査で判明した原因菌に有効な抗生物質を服用し、症状が重く痛みがひどい場合は、消炎鎮痛剤が処方される事もあります。

▼バルトリン腺嚢胞とバルトリン腺膿瘍

  • バルトリン腺穿刺術:溜まった分泌液や膿を、注射器で取り除く
  • バルトリン腺切開術:溜まった分泌液や膿を、CO2レーザーで切開して取り除く
  • バルトリン腺開窓術:膿疱壁の一部を、CO2レーザーで楕円形に切除する
  • バルトリン腺嚢胞摘出術:バルトリン腺自体を摘出する手術

バルトリン腺穿刺術~バルトリン腺開窓術までは、局所麻酔を使うものの施術時間が30分程度と短く、外来で治療を受ける事ができます。

但し、バルトリン腺嚢胞摘出術だけは入院が必要ですから受けられる病院が少なく、バルトリン腺開窓術後に再発した場合にのみ適応されるのが一般的です。

上記、いずれかの方法でバルトリン腺内の分泌液や膿を取り除いた後は、

  • 抗生物質で体内に残った細菌を死滅させる
  • 患部への湿布で症状を緩和する

などの治療が適応されます。

バルトリン腺疾患を放置するリスク

バルトリン腺炎を放置してしまうと、バルトリン腺嚢胞を経てバルトリン腺膿瘍へと進行するリスクが高まってしまいます。

初期段階であるバルトリン腺炎の内に、原因菌を突き止めて進行を食い止めなければ、しこりがどんどん増大し歩けないほどの痛みを伴う事も。

特に厄介なのが、バルトリン腺嚢胞の状態で放置した時に起こり得る「患部の破裂」です。

嚢胞が破裂してしまうと、穿刺術や切開術が出来なくなるのはもちろん、陰部の広い範囲に膿や細菌が感染し、炎症箇所が広がってしまいます。

バルトリン腺疾患の疾患を食い止めるには、

  • 排尿・排便後、前から後ろに向かって拭く
  • 性交の前は、手や外陰部を清潔にしておく
  • ペニスの挿入は、膣内が十分に潤ってから

などの工夫が効果的と言われています。

毛嚢炎(もうのうえん)

毛包炎とも呼ばれる毛嚢炎は、毛穴に細菌が感染し炎症を起こす細菌感染症です。

【 原因 】

  • 黄色ブドウ球菌や溶連菌、表皮ブドウ球菌による感染
  • 下着が擦れた時に出来た傷や、ムダ毛の処理に失敗した時の傷などが引き金になる
  • 長時間、皮膚が湿った状態が続く
  • 副腎皮質ステロイド薬を塗っている

特に、陰部の脱毛に毛抜きを使用した場合になりやすいと言われています。

毛嚢炎の症状や特徴

毛嚢炎は、どんなところに出来やすく、患部の形状や自覚症状には、どんな特徴があるのでしょうか?

【 できる場所 】

  • 毛穴が密集している場所

毛嚢炎は、陰部に限らず毛穴がある場所ならどこにでも発症しますが、下着が触れて擦れるところに出来やすいのが特徴です。

【 しこりの形状 】

  • 初期段階:赤みを帯びた湿疹状
  • 進行段階:膿が溜まって患部が赤く腫れ上がり、ニキビ大まで増大する

陰部にできる「できもの」の中でも、比較的小さいのが特徴。
しこりと言うよりは、ブツブツとした赤い湿疹、ニキビという表現がしっくりきます。

【 自覚症状 】

  • 膿が溜まっていなければ、痒みや痛みは感じられない
  • 蕁麻疹体質の場合は、痒みを伴う事がある
  • 湿疹が硬くなったり膿んでニキビ大になると、軽い痛みを伴う
  • 隣接する毛穴に次々と拡大し、数十個まで広がる事もある

毛嚢炎の炎症が進行し患部に膿を内包するようになると、ふとした圧迫で破れて膿が出てしまう事も。
ちょうど、ニキビを潰した時のようなイメージですね。

痛みが酷い場合は、下着のゴム部分が直接触れないように、ガーゼや生理用ナプキンでカバーするなど工夫してみましょう。

毛嚢炎の治療法

まず最初に、皮膚の膿を綿棒ですくって培養し、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌の有無を確認する感受性の検査を行います。

感受性の検査によって、複数ある抗生物質の中から有効なタイプを判別する事ができるのです。

  • 共通:原因菌に有効な抗生物質(内服薬&外用薬)
  • 初期:外用薬「フシジンレオ」や「クロマイP」などの外用薬を塗る
  • 痛みを伴う場合:「フロモックス」「ファロム」などの抗菌薬を内服する
  • 膿を内包し腫れ上がっている場合:針や切開で膿を取り出す

但し、抵抗力のあるバイ菌を医学的に「耐性菌」と言いますが、これによって効果が得られない場合があります。

感受性の検査によって有効と判断された抗生物質を使ったとしても、他の疾患などで多用した経験があると耐性菌が出来てしまうのです。

2週間以上も抗生物質を服用しているのに改善されない!という場合は、抗菌性や癜風菌(マラセチア毛包炎)の可能性が疑われます。

毛嚢炎を放置するリスク

毛嚢炎は、たった一つの毛嚢炎から隣接の毛嚢に次々と拡散していくという特長があり、下記のような合併症のリスクも伴います。

【 合併症の種類 】

  • 尋常性ざ瘡
  • アトピー性皮膚炎
  • 尋常性毛瘡

雑菌の感染によって発症する毛嚢炎は、不潔な手で患部を触ってしまい悪化させてしまう事も。
初期段階の内に、専門家の診断を受けて対処しましょう。

外陰潰瘍(かいよう)

外陰潰瘍とは、外陰部に「しこり」ができる疾患で、急速にできるモノを急性外陰潰瘍と言います。

残念ながら、外陰潰瘍の原因は明らかにされていませんが・・

  • 湿疹に続発する
  • 皮膚の脆弱化
  • 老化による萎縮性の外陰炎(閉経後に発症した場合)
  • 自己免疫の疾患
  • ベーチェット病の一種
  • ヘルペスウイルス感染
  • 悪性疾患

などが原因として有力視されています。

外陰潰瘍の症状や特徴

外陰潰瘍は、どんなところに出来やすく、患部の形状や自覚症状には、どんな特徴があるのでしょうか?

【 できる場所 】

  • 恥丘(ちきゅう)
  • 大陰唇
  • 小陰唇
  • 陰核(いんかく)
  • 尿道口
  • 膣前庭(ちつぜんてい)
  • 膣口
  • 膣の内部
  • 子宮頸部

つまり、外陰全体と膣の内部や子宮頸部にできる潰瘍という事になりますね。

【 しこりの形状 】

  • 初期段階:小さな発赤
  • 進行段階:掻くことで潰瘍に至る
  • 発症数:単独で出来る場合もあれば、同時に複数発症する事もある
  • 形状:円形もしくは楕円形状で、深くえぐれた潰瘍

外陰潰瘍と同時期に口腔内にも潰瘍が出来る事が多く、これが「外陰潰瘍=ベーチェット病の不全型」と考えられている理由でもあるのです。

【 症状 】

  • 発熱を伴う
  • 痒みを伴う
  • 痛みを伴う
  • 進行するにつれて痛みが増し、下着の摩擦だけでも激しい痛みが生じる
  • 外陰部全体に広がると、ズキズキと疼くような疼痛を伴う

外陰潰瘍の治療法

外陰潰瘍は、2週間~4週間ほどで自然に治る事もありますが、繰り返すようであれば治療が必要です。

▼検査の種類と目的

  • 問診と視診:潰瘍の状態を確認
  • 血液検査:白血球増加やCRP陽性などから潰瘍の深さを診断
  • 細胞診:有効な抗生物質の見極めや、悪性腫瘍の可能性を突き止めるのに有効

外陰潰瘍かどうかはっきりと診断できない、他の疾患も疑われる・・という場合に用いられのが血液検査です。

また、見た目の形状からガンが疑われる場合は、細胞診で明確に識別する必要があります。

▼細菌の感染を食い止める「外用薬」

  • 抗生物質を含んだ軟膏
  • ステロイドを含んだ軟膏

ステロイド系の外用薬に抵抗がある場合は、その旨を担当医に告げて他の外用薬に変更してもらいましょう。

▼痛みを緩和させる「内服薬」

  • 非ステロイド性抗炎症薬
  • 副腎皮質ステロイド薬

外陰潰瘍には、再発を繰り返して「慢性化」する傾向があり、特に月経時になると「しこり」が現れるというケースが多いようです。

場合によっては、月に一度というペースでしこりが現れる事も。

外陰潰瘍を治療するには、原因細菌を死滅させる「抗ウイルス剤」を突き止める事が重要なんです。

外陰潰瘍を放置するリスク

外陰潰瘍を放置する最大のリスクは、潰瘍を成している細胞が悪性だった場合でしょう。

良性の「しこり」か、それとも悪性の腫瘍なのかを判別するには、血液検査や細胞診などによってのみ診断されます。

しこりが出来る場所が場所だけに、見て見ぬ振りをしてやり過ごす人も多いでしょうが、できるだけ早い段階で専門医の診察を受けた方が賢明なのは明らかです。

外陰脂肪腫

脂肪腫とは、軟部組織の腫瘍の中で比較的よく見られる良性の腫瘍で、外陰部にできたモノを「外陰脂肪腫」、血管成分が多いモノを「血管脂肪腫」と言います。

その名の通り、脂肪の塊りが「しこり」として現れる疾患で、40代~50代の女性や肥満傾向の人に発症しやすい傾向にあります。

外陰脂肪腫の症状や特徴

外陰脂肪腫は、どんなところに出来やすく、患部の形状や自覚症状には、どんな特徴があるのでしょうか?

【 できる場所 】

  • 外陰部全体

脂肪腫自体は、首や上半身、四肢にできる事が多い疾患で、外陰部に発生することは非常に稀とされています。

【 しこりの形状 】

  • しこりの色:淡黄もしくは、橙黄色
  • 大きさ:直径が数mmのニキビ大~10㎝以上まで様々
  • 形状:柔らかく、ドーム状に盛り上がる
  • 発症数:通常は単発性腫瘍ですが、稀に多発する事もある

一般社団法人 関東連合産婦人科学会によると、約15cmにもなる巨大外陰脂肪腫の症例が報告されています。

また、周囲との境界がハッキリしているので自覚しやすく、しこりが大きくなると不規則な小葉構造となるのも特徴です。

【 症状 】

  • 痛みや痒みのない無症状
  • しこりが大きくなると、日常生活に支障が出る事もある

しこりの増大スピードが緩やかなのに加えて、痛みや痒みなどの自覚症状が感じられないという理由から、歩行困難になるほどしこりが大きく肥大してしまうケースも少なくありません。

外陰脂肪腫の治療法

外陰脂肪腫に対する治療法の第一選択は、手術による摘出となりますが、予め行う事前検査によって悪性腫瘍の可能性を探ります。

▼術前検査の種類

  • 臨床症状:問診/視診
  • 画像検査:エコー検査/CT検査/MRI検査

場合によっては、細胞の一部を吸引して組織検査が行われる事もあります。

▼摘出手術の手順

  1. 腫瘍の真上から、直径にそって切開する
  2. 被膜を破らないように周囲組織から剥がす
  3. 腫瘍内部の脂肪を摘出する
  4. 止血によって血腫の生成を防ぐ
  5. ドレーンを留置する事もある

しこりが巨大な場合、脂肪吸引法という選択肢が適応される事もありますが、切開による術式が一般的です。

ごく稀なケースとして、脂肪腫が骨盤内や筋肉内に侵潤している場合があります。

この場合は、かなりの出血が想定されますので、総合病院での手術を推奨する専門医も少なくありません。

外陰脂肪腫を放置するリスク

外陰脂肪腫を放置する最大のリスクは、組織細胞が悪性だった場合でしょう。

一般社団法人 日本形成外科学会によると、脂肪腫と識別すべき疾患として肉腫などの悪性腫瘍が挙げられています。

特に、画像診断による識別が難しいとされているのが、悪性の分化型脂肪肉腫です。

良性か悪性かの診断を明確にするには、外科的に摘出した腫瘍細胞を用いた病理組織学的検査が推奨されています。

外陰ガン

外陰ガンとは、外陰部の表面にできる悪性の皮膚ガンで、婦人科ガン全体の3%~4%を占める稀なガンとしても知られています。

【 外陰ガンの種類 】

  • 扁平(へんぺい)上皮ガン
  • 悪性黒色腫(メラノーマ)
  • 基底細胞癌
  • パジェット病(癌化する表皮内癌の一種)
  • バルトリン腺癌

外陰ガンで最も多い扁平上皮ガンの中で、上皮内で留まっているモノを「外陰上皮内腫瘍」と言い、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染に関連するモノと関連しないモノに分けられます。

外陰ガンの症状や特徴

外陰ガンになりやすい傾向にある人や出来やすい場所、患部の形状や自覚症状について順番に見ていきましょう。

【 なりやすい人 】

  • 閉経後の女性
  • 外陰部に持続的な痒みがある人
  • 苔癬(たいせん)などの炎症性疾患の経験者
  • 尖形コンジロームの経験者
  • 腟癌や子宮頸癌の経験者

50代以上の女性に発症しやすいという特長はあるものの、年齢が若くても特定の疾患を患った経験がある場合は、発症リスクを警戒すべきでしょう。

【 できる場所 】

  • 大陰唇や小陰唇、陰核(クリトリス)など外陰部全体

大陰唇に最も多く発症しますが、腫瘤が発症する場所や病変の範囲によって治療が異なります。

【 しこりの形状 】

  • しこりの色:部分的に脱色する白斑(はくはん)/色素沈着
  • 大きさ:小豆大やビー玉大など様々
  • 形状:コブ状の腫瘤

白色や茶色、赤色の斑点が見られる場合は、癌化する可能性が高い「前癌病変」と呼ばれています。

【 自覚症状 】

  • 持続的な痒み
  • 痛み
  • 皮膚が赤くただれる
  • 灼熱感
  • 出血

比較的、自覚症状が多いという印象がある外陰ガンですが、初期段階で自覚できる症状は少ないと言われています。

外陰ガンの治療法

組織検査などで外陰ガンであると診断された場合、切除手術が治療の第一選択になります。

とは言え、進行状態によって5段階の臨床病期に分かれており、放射線療法や化学療法を組み合わせた治療が行われます。

また、切除手術によって皮膚の欠損が著しい場合は、形成外科や皮膚科と連携して治療にあたる病院も少なくありません。

外陰ガンを放置するリスク

外陰ガンを放置してしまうと、下記のような二次的リスクに進行する可能性が高まってしまいます。

  • 鼠径(そけい)リンパ節への転移
  • 腟や尿道、肛門などの周辺臓器への浸潤が進む

進行スピードが緩やかで、初期段階の自覚症状が乏しいという特長から、定期的な婦人科検診で見つかったという人も少なくありません。

陰部の「しこり」は何科に行けばいいの?

陰部に出来るしこりは、ちょっとした湿疹大のモノから数10㎝を超えるモノまで様々です。

その為、「ニキビに似てるから皮膚科が良いのでは?」「巨大化したしこりは形成外科?」などなど・・何科を受診したら良いのか分からない!という女性も多いでしょう。

結論から言うと、陰部のしこりを診てもらうには・・

  • 産婦人科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • 泌尿器科

上記の病院であればどこでもOKです!

とは言え、しこりを伴う陰部の疾患には、自然治癒が見込める疾患もありますが、進行性や悪性の腫瘍も含まれます。

婦人科検診も兼ねて、組織検査が受けられる産婦人科に受診するのがオススメですよ。

SNSでシェア
  • Twitter
  • hatena
  • facebook

こちらの記事もオススメです

ページ先頭に戻る