子宮奇形の中で最もメジャー!弓状子宮の疑問を解決

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子宮奇形の中には、ほとんど自覚症状が現れない種類もありますが、「弓状子宮」もその一つに含まれます。

その為、「やっと妊娠できたと思ったのに、その場で子宮奇形を宣告された!」なんてケースも珍しくありません。

弓状子宮とは、子宮底部の外見的な形状が「弓」のようにやや膨らんでいる反面、子宮内腔の子宮底部側が少し窪んでいる子宮奇形を指しています。

確かに、赤ちゃんを望む女性にとって妊娠と同時に告げられた子宮奇形という現実は、相当なショックでしょう。

ですが弓状子宮という子宮奇形は、重複子宮や双角子宮のように子宮が分断されている訳ではありません。

漠然と不安を募らせる前に、まずは弓状子宮がどのような形態になっているのか、妊娠・出産にどれほど影響するのかを確認してみましょう。

弓状子宮になる確率は?

弓状子宮の最大の特長は、その発生頻度の高さと言えるでしょう。

日本産科婦人科学会によると、子宮奇形の女性に対して発症頻度を調べた統計が、種類ごとに公開されています。

【 種類別の発症頻度 】

  • 中隔子宮:43名/127名(33.9%)
  • 弓状子宮:42名/127名(33.1%)
  • 双角子宮:26名/127名(20.5%)
  • 単角子宮:8名/127名(6.3%)
  • 重複子宮:8名/127名(6.3%)
上記のデータでは、5種類の主な子宮奇形の中で2番目に発症頻度が高いという結果に!
1位である中隔子宮の発症頻度と差が小さい事から、総合的に見て最も発症頻度の高い子宮奇形であると指摘する医療関係者も少なくありません。

但し、子宮奇形の発症頻度に関しては、医療関係者の間でも多少の誤差があるようです。

神奈川県にある医療法人ソフィア ソフィアレディスクリニック&不妊センターによると、下記のような統計が報告されています。

【 発症頻度の高い順 】

  • 双角子宮:26~37%
  • 弓状子宮:15%~18%
  • 中隔子宮:8.2~11.1%
  • 重複子宮:8.2%~11.1%
  • 単角子宮:4.4%~9.6%

どちらにしても、弓状子宮の発症頻度が高いという事実に変わりはないようですね。

弓状子宮ってどういう状態なの?

弓状子宮には、下記のような特長があります。

【 弓状子宮の特長 】

  • 子宮底部側(子宮の上部)の外観が、弓のようにやや膨らんでいる
  • 子宮内腔の子宮底部側が少し窪んでいるものの、中隔は無く分割はされていない
  • 子宮内腔・子宮口・膣は、それぞれ1つずつ
上記の特長をまとめると、子宮の外観が弓のように膨らみ子宮内腔の子宮底部側が窪んでいるだけ。つまり、子宮奇形の中で最も正常子宮に近いタイプと言えるでしょう。

ですが、一見アドバンテージにも思える正常子宮と相違点が少ないという特長から、最も子宮奇形と診断するのが難しいタイプと指摘する医療関係者も少なくありません。

弓状子宮になる原因は?

子宮奇形になる原因として代表的なのが、下記の3項目です。

【 子宮奇形の主な原因 】

  • 子宮や膣の元となるミュラー管の片側だけが、「発育不全」を起こしていた場合
  • 左右のミュラー管から作られた2つの子宮が、1つに成れない「融合不全」
  • 左右それぞれに作られた2つの子宮が融合した後に、中隔が残ってしまう「消褪不全」

上記の項目は、不具合が起きる順序に沿ってご紹介しています。

広島県にある医療法人マイビー まつなが産婦人科によると、弓状子宮は「ミュラー管上部の癒合不全」の影響を受けていると解説されています。

つまり、弓状子宮は子宮が作られる工程の比較的早い段階で不具合が生じたと推察できますね。

その一方で、子宮が作られる工程の後半に起こった不具合が影響しているのでは?と主張する医療関係者もおり、見解にバラつきがあるようです。

左右それぞれに作られた2つの子宮が融合すると、中央に中隔と呼ばれる壁のような部位が作られます。

子宮内腔に出来た中隔は、下記の順番で消褪してゆき最終的に1つの子宮が出来上がるのです。

【 中隔が消褪していく順番 】

  • 中央(子宮体部)
  • 下部(子宮頚部)
  • 上部(子宮底部側)

弓状子宮は、子宮の上部側に位置する子宮底部の子宮内腔が窪んでいますから、子宮の上部に出来た中隔が消褪不全を起こした可能性も否定できないのです。

弓状子宮でも妊娠できるの?

最も正常子宮に似ているとは言え、弓状子宮が子宮奇形である事に変わりありません。

そこで気になるのが、次回の妊娠への影響ですよね。

弓状子宮が妊娠へ及ぼす影響は、どの程度なのでしょうか?

医療関係者が公開している情報の中から、弓状子宮と妊娠にまつわる情報をピックアップしてみました。

【 弓状子宮と妊娠の関係性 】

  • 日本産科婦人科学会:弓状子宮の女性42名に、110回の妊娠が認められた
  • 一般社団法人日本生殖医学会:子宮奇形の妊婦42名の内、12名が弓状子宮だった
  • ソフィアレディスクリニック&不妊センター(神奈川県):妊娠成立に殆ど影響しない

上記の情報から、弓状子宮と診断された女性であっても十分に妊娠できる可能性がある事が分かります。

弓状子宮と不妊を結びつける根拠は薄い!と主張する医療関係者が多いのも頷けますね。

弓状子宮の妊婦さんが流産や早産になる確率は?

弓状子宮の形状は、子宮奇形の中で最も正常子宮に近く相違点が少ないタイプです。

この特長からも分かる通り、子宮としての機能には何ら支障がありませんので、月経痛が重くなったり性交痛を伴うなどの自覚症状は、ほとんど無いと言われています。

では、弓状子宮と診断された女性が最も気になる「流産」や「早産」などのリスクは、どの程度なのでしょうか?

日本産科婦人科学会の調査によると、弓状子宮の女性の妊娠予後について、下記のような具体的なデータが公開されています。

【 流産や早産に至る確率 】

  • 42名の弓状子宮の女性に、110回の妊娠が認められた
  • 初期流産:14名(12.7%)
  • 後期流産:2名(1.8%)
  • 早産:5名(4.5%)
  • 正期産:86名(78.3%)
  • 生児獲得数:91名(82.7%)

上記のデータをまとめてみると・・

  • 妊娠後期よりも妊娠初期の方が、流産に至るリスクが高い
  • 妊娠初期と妊娠後期を合わせると、約14.5%の頻度で流産に至る
  • 正期産の出産率が、非常に高い
  • 生児獲得数が、非常に高い

という事が分かりますね。

ちなみに、同学会によると正常子宮の女性であっても約15%が流産に至ると報告されています。

つまり、弓状子宮は子宮奇形の中で最も妊娠予後が良好で、流産の原因とは考えられないというのが、医療関係者の共通した見解なんです。

弓状子宮に治療は必要なの?

日々、医療現場で実際に患者さんの診療にあたっているリプロダクションクリニック大阪の松林先生によると、長期間に渡って蓄積された調査結果が報告されています。

【 弓状子宮の生産率 】

  • 1997年・・・83%
  • 2001年・・・76%
  • 2001年(正常子宮)・・・85%

上記のデータは、弓状子宮と診断された女性が手術を行わずに妊娠に臨んだ場合の生産率です。

つまり、弓状子宮の女性は特別な治療を受けなくても十分に妊娠・出産が可能である!という事になりますね。

また、東京にある両角レディースクリニックの両角院長によると、

  • 弓状子宮の「流産率」は、正常子宮と変わらない
  • 弓状子宮の「生児獲得率」は、正常子宮と変わらない

などの特長から、原則的に手術を適応せず経過観察するのが一般的と解説されています。

手術の対象にならないという事は、弓状子宮は子宮奇形の一種ではあるものの、それだけ変形の程度が軽い証しとも言えるでしょう。

但し、子宮筋腫などの合併症が認められる場合は、適切な治療が必要となります。

弓状子宮と診断されても慌てないで!

自分の身体とは言え、子宮の形状がどうなっているのかまで把握している女性は滅多に居ませんよね。

ある日、唐突に告げられた「子宮奇形」という事実に、動揺してしまうのは当然でしょう。

ですが、子宮奇形の中で最も変形の程度が軽く、妊娠・出産への影響がほとんど無いと言われているのが「弓状子宮」の特長でもあるのです。

弓状子宮と診断されたからと言って、過度に落ち込む必要はありません!

妊娠も出産も、正常子宮の女性と同じ確率で叶うんですよ。

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