子宮後屈に関する疑問を解決!妊娠しにくいってホント?

子宮後屈に関する疑問を解決!妊娠しにくいってホント?
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子宮の位置がずれたまま正常な位置に戻らない状態を「子宮の位置異常」と言い、今回のテーマである「子宮後屈」もその一つに含まれます。

そもそも、子宮が正常な位置に留まっている子宮前屈と位置異常である子宮後屈には、どんな違いがあるのでしょうか?

  • 子宮前屈:子宮が骨盤内でお腹側に傾いて、尚且つ前方に折れ曲がっている状態
  • 子宮後屈:子宮が骨盤内で背中側に傾いて、尚且つ後方に折れ曲がっている状態

つまり、子宮の傾きと折れ曲がっている方向が、正常位置と逆方向になっているのが子宮後屈なんです。

婦人科検診や不妊治療の経験がない人にとっては聞き慣れない子宮後屈ですが、どれ位の女性が該当しているのでしょうか?

愛知県で不妊治療に定評がある「おち夢クリニック名古屋」によると、女性全体に対する子宮前屈と子宮後屈の割合が報告されています。
  • 子宮前屈:70%~80%
  • 子宮後屈:20%~30%

上記のデータから、子宮後屈は決して珍しい症状ではなく、少なくとも5人に1人が該当しているという事が分かりますね。

子宮後屈は2種類に分類される!

一般的には「子宮後屈」という俗称で知られていますが、正式な医学名称を「子宮後傾後屈症」もしくは「子宮後転症」と言い、その特長によって「可動性」と「癒着性」に分類されています。

【 子宮後屈の種類 】

  • 可動性:自覚症状や障害がほとんどなく、生まれつきの体質で病気ではない
  • 癒着性:何等かの疾患によって子宮の位置がずれているので、治療が必要

つまり、可動性は先天性であり、癒着性は後天性という事になりますね。

そもそも子宮というのは、前方にある膀胱と後方にある直腸に挟まれている為、尿や便の充満状態によって位置が移動する可動性に富んだ臓器です。

先天性の子宮後屈が「可動性」とネーミングされているのも、この子宮ならではの特長からきているのでしょう。

可動性子宮後屈の原因は?

可動性子宮後屈は、そのほとんどが先天性と言われていますが、稀に下記のような要因が関連している場合があります。

  • 子宮の発育不全
  • 骨盤底筋群の機能不全(筋肉や靭帯、筋膜などを含む)

癒着性子宮後屈の原因は?

生まれつき子宮が背中側に傾いている可動性の子宮後屈と違って、癒着性の子宮後屈には要因となる明確な疾患が存在します。

【 要因となる疾患の一例 】

  • 骨盤内の炎症
  • 子宮内膜症
  • 子宮の良性腫瘍
  • 卵巣嚢腫(のうしゅ)

これらの疾患を患っていると、子宮が他の臓器や骨盤壁などに癒着してしまいます。

その結果、子宮が本来あるべき位置より背中側に傾いてしまい、元の位置に戻れなくなっているのです。

子宮後屈に自覚症状はあるの?

子宮後屈の自覚症状は、その種類によって違いが見受けられます。

【 可動性子宮後屈の自覚症状 】

可動性子宮後屈は、先天性と呼ばれる通り生まれつきの体質であり、目立った自覚症状や障害、生活に支障を来すような症状はほとんどありません。

但し、子宮の発育不全や骨盤底筋群の機能不全が要因で可動性子宮後屈になっている場合は、下記のような症状が現れる傾向にあります。

  • 月経異常
  • 腰痛

【 癒着性子宮後屈の自覚症状 】

骨盤内の炎症や子宮内膜症などが原因で癒着性子宮後屈になっている場合、患者さんが訴える自覚症状には下記のような共通点が見受けられます。

  • 月経痛
  • 過多月経
  • 月経時以外の腹痛
  • 腰痛
  • 便秘
  • 排尿障害
  • 性交時の痛み
  • 不妊

子宮後屈だと月経困難症になりやすいってホント?

子宮後屈と診断された女性の中には、生理痛を伴う月経困難症の自覚症状を訴えるケースが少なくありません。

ですが、子宮後屈と月経困難症の関連性は、専門家の間でも意見が分かれているのが実情です。

  • 医療法人二葉会(東京):子宮後屈は、生理痛や排卵痛と直接関係していない
  • 清水産婦人科クリニック(東京):子宮後屈や前屈で子宮頸管が狭いと起こる
  • アイレディースクリニック 新横浜:後屈や前屈の屈曲程度が強いと生じる
  • 田渕レディスクリニック(神奈川):癒着性子の場合、月経痛を伴う事がある
  • 博愛医院(東京):癒着性の場合は、月経痛を伴う

実際に月経困難症を訴える患者さんが多いのにも関わらず、なぜ医療現場では見解が分かれているのでしょうか?

それは、生理痛をはじめとする月経困難症を引き起こす要因が、複数存在するからなんです。

たとえ、月経困難症の自覚症状があったとしても、子宮後屈が直接原因なのか、それとも他の原因因子が引き起こしているのか、明確に突き止めるのは難しいと言われています。

有力な説として挙げられているのが、子宮後屈の屈曲程度が強いほど子宮頸管が狭くなり、経血が流れる時に痛みが生じるのではないか?という解釈です。

この説であれば、前屈であろうと後屈であろうと痛みを感じるという症例とも合致し、理に適っていると言えるでしょう。

子宮後屈によって子宮の出口である子宮頸管が狭まっていると、経血を押し出そうと子宮が過度に収縮しますから、それだけ月経痛が重くなってしまうのです。

ちなみに、お産で子宮頸管が広がると月経痛も軽くなる人が多い、という逆説的な特長も見受けられます。

子宮後屈だと妊娠しにくいってホント?

子宮後屈と診断された女性の中には、不妊症の治療中に明らかになったというケースが多く、実際に子宮後屈が着床を妨げていると言われた女性も少なくありません。

ですが、月経困難症と同様に子宮後屈と不妊の関係性についても、医師によって見解が分かれているようです。

▼大谷レディスクリニック(兵庫県)
子宮後屈は、あくまで患者さんの個性であり、子宮後屈だから妊娠しにくいとは言えない。
▼おち夢クリニック名古屋(愛知県)
以前は不妊や流産の原因と考えられていたが、病気ではないという解釈から、癒着性でなければ不妊の原因因子に含まれない。
▼医療法人社団 神谷レディースクリニック(北海道)
要因となる疾患を伴わない子宮後屈は正常であるが、癒着性子宮後屈の場合は不妊症の治療が必要になる場合がある。
▼国井クリニック(山形県)
子宮後屈や子宮の小ささと不妊の相関性は低いが、標準より小さな子宮が子宮後屈を伴っている場合のみ、妊娠率は低い傾向にある。
▼医療法人社団 小川クリニック(東京都)
子宮後屈は、着床障害を引き起こす子宮異常に含まれるが、子宮後屈だからと言って必ずしも着床障害に至る訳ではなく、症状の程度によって異なる。

これらの情報をまとめてみると・・・

先天性子宮後屈と不妊を明確に関連づける研究データは立証されていないので、不妊の原因とは断言できないものの、100%否定する事は出来ない。また、癒着性子宮後屈であれば不妊治療が必要な場合もある。

という事になりますね。

そもそも、不妊の原因は複数の要因が複合的に絡んでいる場合が多く、1つの原因に絞るのは難しいと言われています。

子宮後屈でも着床しやすい体位とは?

確かに、子宮後屈と不妊の相関性は立証されていません。

ですが、前屈と後屈では子宮口と膣壁の位置関係に違いがあり、この違いが着床に影響を与えてしまう事があるんです。

まずは、膣内に射精された精子が子宮内へと侵入していく過程を確認してみましょう。

【 射精された精子の動向 】

  1. 膣内に精子が射精される
  2. 子宮口の周辺になる凹に精子が溜まる
  3. 溜まった精子が子宮口に接触して、子宮内に入っていく
つまり、膣内に射精された「精子が溜まっている箇所」と「子宮口」が接触していなければ、精子は子宮の奥へと侵入していけないのです。

では次に、女性が仰向けで寝ている時の位置関係を確認してみましょう。
前屈と後屈では、どのような違いがあるのでしょうか?

【 仰向けで寝ている時の位置関係 】

  • 前屈:精子が溜まっている膣壁の後側と子宮口が接触している
  • 後屈:膣壁が溜まっていない膣壁の前側と子宮口が接触している

つまり子宮後屈の場合、仰向けのままだと精子と子宮口が接触していない為、精子が子宮の奥へと入っていけないのです。

では、子宮後屈の女性が妊娠する為には、どうしたら良いのでしょか?

生殖医療専門クリニックであるリプロダクションクリニック大阪の松林秀彦先生によると、子宮後屈の女性でもうつ伏せに寝る事で、精子の溜まりと子宮口を接触させる事ができる!と解説しています。

ちなみに、タイミング法に加えて性行為の後に10分~15分程度の間うつ伏せに寝るという工夫を取り入れる事で、妊娠率をアップさせる効果が期待できるんだとか。

但し、これらの方法は先天性子宮後屈の女性に向けられたアドバイスですから、何等かの疾患を伴う癒着性子宮後屈の場合は、根本原因を解消する為の治療が先決となります。

子宮後屈がもたらす出産への影響

子宮後屈と診断された女性が妊娠した場合、最も気になるのが出産への影響ですよね。

女性全体の20%~30%に相当する子宮後屈ですが、出産への影響はどの程度なのでしょうか?

横浜市にある田渕レディスクリニックによると、下記のような影響が指摘されています。

【 可動性子宮後屈が出産に及ぼす影響 】

先天的であれば過度に心配する必要はなく、妊娠して子宮が大きくなるにつれて、後屈から正常な位置である前屈へと変化していくケースがほとんどです。

つまり、疾患を伴わない子宮後屈の女性が妊娠した場合、特別な治療をしなくても、その多くが無事に出産に至っているという事になりますね。

【 癒着性子宮後屈が出産に及ぼす影響 】

癒着性子宮後屈の中でも、子宮が骨盤腔の後壁に癒着している場合は、程度によって流産の危険性があります。

まずは、要因となっている疾患を突き止めて、妊娠中でも治療が可能かどうかを、担当医と相談してみましょう。

子宮後屈の治療法は?そもそも治療は必要?

子宮後屈の治療は、可動性か癒着性かによって治療方針に違いがあります。

可動性子宮後屈

一昔前までは、全ての子宮後屈に対して前屈に治す矯正手術が行われていました。

これは、可動性か癒着性かの判別が困難であった為、全ての子宮後屈が不妊や流産の原因と考えられていたからでしょう。

ですが現在では、可動性子宮後屈と不妊や流産とを結びつける相関性は非常に低く、障害となる自覚症状が乏しい為、あえて治療の必要はないというのが一般的な解釈です。

癒着性子宮後屈

何等かの疾患による癒着性子宮後屈の場合、病態や症状に合わせた治療が必要です。

また、癒着部分の剥離(はくり)をはじめ、本来の正常位置である前屈へと強制する為に、外科的治療が選択される事もあります。

子宮後屈だからと言って落ち込む必要はない!

5人に1人が該当すると言われている子宮後屈は、決して珍しいモノではありません。

まして、先天性の子宮後屈であれば、障害となる自覚症状も殆どありませんし、妊娠や出産への影響も僅かと言われています。

近年では、治療の必要性が無いと判断されている通り、病気ではなく「体質」や「個性」と見なす医師も少なくありません。

但し、癒着性子宮後屈の場合は、何等かの疾患が隠れている可能性が高いので、まずは原因を突き止める事から取り掛かりましょう。

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