中隔子宮と診断された!妊娠や出産リスクはどの程度?

中隔子宮と診断された!妊娠や出産リスクはどの程度?
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一口に子宮奇形と言っても、その形状によって種類が細分化されており、伴うリスクにも違いがあります。

子宮奇形は、主な種類だけでも5種類ほどに分類されますが、「中隔子宮」もその一つ。

中でも、発症頻度が高く最終的な生児獲得率が低いとされているのが「中隔子宮」なんです。

中隔子宮(ちゅうかくしきゅう)とは、外見的な子宮の形状は正常子宮と遜色ないものの、子宮内腔に中隔が残っていて子宮の一部が左右に分断されている子宮奇形を指しています。

そんな中隔子宮には、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?

中隔子宮ってどうゆう状態なの?

中隔子宮の状態を正しく理解するには、子宮の部位について把握しておきましょう。

【 子宮の部位 】

  • 子宮底部:子宮の天井部位
  • 子宮内腔:子宮体部の内部スペース
  • 中隔:子宮を2つに分けている壁

中隔子宮の特長

中隔子宮には、下記のような特長があります。

【 中隔子宮の特長 】

  • 外見的な子宮の形状は、ほぼ正常子宮と変わらない
  • 子宮内腔が左右2つに分かれており、ウサギの耳のような形状になっている
  • 子宮内腔の子宮底部側から子宮口あたりまで、中隔が残っている状態
  • 子宮口と膣は1つずつ

中隔子宮は、子宮内腔だけが2つに分かれているという特長から、「双角単頸子宮」と診断されるケースも少なくありません。

中隔子宮の種類

中隔子宮は、子宮内腔に残っている中隔(中央の壁)の状態によって、下記の2種類に分類されています。

【 中隔子宮の種類 】

  • 完全中隔子宮:子宮内腔の中央に、中隔が明確に存在している
  • 不完全中隔子宮:中隔は認められるが、「短い」もしくは「薄い」など不完全な状態

「中隔子宮」と「双角子宮」の違いは?

医学的にも見分けるのが難しいと言われているのが、「中隔子宮」と「双角子宮」です。

中隔子宮と双角子宮には、子宮内腔が2つに分かれているという共通点があります。

では、中隔子宮と双角子宮を見分けるにはどうしたら良いのでしょうか?

注目すべきは、子宮底部(子宮の天井部位)側の「外観」だったんです。

【 外観の相違点 】

  • 中隔子宮:ほとんど正常子宮と変わらない
  • 双角子宮:子宮底部が2つに分かれており、卵管と繋がっている「子宮角」が2つある

どちらも、本来1つであるべき子宮内腔が2つに分かれているのは同じですが、外観の形状に違いがあるのが分かりますね。

日本産科婦人科学会によると、中隔子宮と双角子宮を見分ける方法として、下記のような具体的な識別方法が報告されています。

【 中隔子宮と双角子宮の見分け方 】

  • 中隔子宮:両子宮角の間の角度が75°以下
  • 双角子宮:両子宮角の間の角度が105̊ 以上
双角子宮については「双角子宮と診断されたら!妊娠や出産への疑問を解決」で詳しくご紹介しています。

中隔子宮に適した検査方法は?

子宮奇形が疑われる場合、代表的な検査方法として「子宮卵管造影検査」や「子宮鏡検査」が挙げられます。

確かに、子宮卵管造影検査や子宮鏡検査は子「子宮内腔」が正常かどうかを識別するスクリーニングとしては有用です。

その一方で、子宮の「外形」を評価することができないという難点が指摘されています。

その為、子宮内腔と子宮の外形を一度に識別するには、下記の検査方法が推奨されています。

【 識別に適した検査方法 】

  • 子宮鏡検査と腹腔鏡検査の併用
  • MRI検査

特に、共通点の多い「不完全中隔子宮」と「双角単頸子宮」は、識別の為にMRI検査が適応されるケースも少なくありません。

中隔子宮の原因は?

子宮奇形になる原因は、ミュラー管の「発育不全」や「癒合不全」に分類させるタイプが多く、子宮が作られるプロセスの中でも前半~中盤にかけての支障が影響していると言われています。

ですが、プロセスの後半に起こる不具合が影響しているのが、中隔子宮の特長でもあるのです。

【 子宮形成のプロセス 】

  • 左右の中腎管から「ミュラー管」が作られる
  • 左右のミュラー管から、2つの子宮と2つの膣が作られる
  • 左右それぞれに作られた子宮と膣が、中央に向かって近づいていく
  • 左右の子宮と膣が融合し、中央にできた中隔が消褪していく
  • 中隔が完全に消えて失くなり、子宮内腔が融合し1つの子宮が完成する
つまり中隔子宮は、ミュラー管の発育や融合には成功したものの、中隔が消褪して子宮内腔が1つに融合する後半部分のプロセスに失敗した、という事が分かりますね。

ちなみに、左右の子宮や膣を隔てている「中隔」は下記の順番で消褪していきます。

【 中隔が消えていく順番 】

  • 子宮:中央(子宮体部)→下部(頚部)→上部(子宮底部)へ向かって消褪していく
  • 膣:下部→上部へ向かって消褪していく

中隔の消褪度合いが悪く明確に残っている中隔子宮を「完全中隔子宮」、消褪の一部だけ失敗した中隔子宮を「不完全中隔子宮」と分類しているのです。

但し、医療関係者によっては「中隔の消褪が上手くいかなかった=ミュラー管の発育が不良であった」と解釈される場合もあります。

中隔子宮の自覚症状は?

子宮奇形の中には、月経時の痛みや性交痛などの自覚症状を伴うケースもあります。

ですが、数ある子宮奇形の中でも自覚症状が乏しいと言われているのも、中隔子宮の特長です。

確かに、完全中隔子宮の中には稀ではあるものの、片方の入り口が塞がっているケースも報告されており、経血が溜まって急性腹圧になるのでは?と心配になりますよね。

では、なぜ自覚症状を訴える女性が少ないのでしょうか?

【 中隔に見られる特長 】

  • 中隔に小さい穴が空いている
  • 中隔の途中で左右の子宮が交通している

上記の項目に当てはまる女性は意外と多く、結果的に月経痛を伴うケースが少ない・・と解釈されているのです。

ちなみに、上記のようなケースは造影検査でも見逃される事が多いと言われています。

中隔子宮でも妊娠できるの?

中隔子宮と診断された瞬間、妊娠への不安を抱かない女性は少ないでしょう。

中隔子宮の妊娠への影響は、一体どの程度なのでしょうか?

医療関係者が公開している情報の中から、妊娠に関するデータをピックアップしてみました。

【 中隔子宮の妊娠率 】

  • 日本産科婦人科学会:中隔子宮の女性43名に、145回の妊娠が認められた
  • 一般社団法人日本生殖医学会:子宮奇形の妊婦42名の内、11名が中隔子宮だった
  • ソフィアレディスクリニック&不妊センター(神奈川県):不妊原因にはならない
  • 高橋ウイメンズクリニック(千葉県):不妊症治療として手術の必要は通常ない

上記のデータから、特別な治療をしなくてもかなりの確率で妊娠できる事が分かりますね。

中隔子宮の妊婦さんが流産や早産になる確率は?

一口に子宮奇形と言っても、その種類によって伴うリスクに違いがあり、中には流産や早産と関連性が認められないタイプもあります。

ですが、残念ながら中隔子宮の代表的なリスクとして、「流産」や「早産」が挙げられているのです。

そこで、流産や早産に関する医療関係者の見解をピックアップしてみました。

▼レディースクリニックつねざわ(福井県)
習慣流産の診察で発覚する子宮奇形の中で最も多く、流産や早産に至る割合は主な子宮奇形の80~90%を占めている。また、中隔子宮の流産率=65%という報告もある。
▼医療法人ソフィア ソフィアレディスクリニック&不妊センター(神奈川県)
中隔子宮は、不妊原因にはならないものの、流産を繰り返す不育症を起こすケースが多い。
▼医療法人社団晴晃会 育良クリニック(東京都)
子宮内腔が2つに分かれている「中隔子宮」は、子宮奇形の中でも特に流産率が高い傾向にある。

上記の情報から、子宮奇形の中でも特に流産や早産のリスクが高く、慎重な経過観察が不可欠だという事が分かりますね。

ちなみに日本産科婦人科学会の調査によると、中隔子宮の女性の妊娠予後について、下記のような具体的なデータが公開されています。

【 流産や早産に至る確率 】

  • 43名の中隔子宮の女性に、145回の妊娠が認められた
  • 初期流産:37名(25.5%)
  • 後期流産:9名(6.2%)
  • 早産:21名(14.5%)
  • 正期産:75名(51.7%)
  • 生児獲得数:90名(62.0%)

上記のデータをまとめてみると・・

  • 妊娠後期よりも妊娠初期の方が、流産に至るリスクが高い
  • 妊娠初期と妊娠後期を合わせると、約32%の頻度で流産に至る
  • 早産率も過誤できない

という事が分かりますね。

中隔子宮の生児獲得率を下げている理由は?

流産や早産に見舞われる確率が高いという事は、それだけ生児獲得率が低いという事になります。

確かに子宮奇形の中には、同様に最終的な胎児獲得率が低いタイプもありますが、中でも特に「不育症」と深く関係しているのが中隔子宮と言われているのです。

医療機関によって調査結果にはかなりのバラつきがあるものの、総合的に判断すると子宮奇形の中で最も妊娠予後が芳しくないと言えるでしょう。

ナゼこれほどまでに中隔子宮の妊娠予後が悪いと診断されているのか、その理由について医療関係者の見解を集めてみました。

【 妊娠予後が悪い理由 】

  • かなり高い確率で、中隔部に受精卵が着床してしまう
  • 血流が乏しい中隔部分に受精卵が着床してしまうと、胎児に十分な栄養が供給できない

中隔子宮の妊娠は、上記の理由から不育症になりやすいと考えられているのです。

中隔子宮の治療方法は?

中隔子宮の治療法は、子宮の中央部に残ってしまった中隔の程度によって大きく2種類に分けられます。

【 中隔子宮の治療法 】

  • 中隔が小さい場合:内視鏡手術で切除
  • 中隔が大きい場合:開腹手術で切除

【 入院期間 】

  • 内視鏡手術:日帰り~数日間
  • 開腹手術:7~10日程度

千葉県にある高橋ウイメンズクリニックによると、中隔の残存程度が軽度であれば日帰り手術も可能で、わずか20程度の手術になるケースもあると報告されています。

ちなみに、内視鏡手術であろうと開腹手術であろうと、どちらも健康保険の対象です。

中隔を切除すると妊娠率がアップする!?

確かに、中隔子宮は治療しなくてもかなりの妊娠率を誇っている、珍しい子宮奇形と言えるでしょう。

とは言え、中隔子宮以外に取り立てて不妊に繋がるような要因が見つからないにも関わらず、なかなか妊娠できないという場合もあるようです。

上記のような場合では、残ってしまった中隔を取り除く外科的治療が適応されています。

中隔を取り除く手術によって、妊娠率はどの程度アップするのでしょうか?

厚生労働省 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業によると、「内視鏡的中隔切除術」が適応された場合の妊娠率について、下記のような調査結果が報告されています。

【 術前術後の妊娠率を比較 】

  • 手術前の妊娠率:53.8%(13名中7名が妊娠)
  • 手術後の妊娠率:81.3%(96名中78名が妊娠)
  • 結果:27.5%妊娠率がアップした

上記のデータから、外科的に中隔を切除して本来の子宮の形状に近づける事で、妊娠率がアップするという事実が分かりますね。

但し、上記の調査では手術を希望する患者さんの方が圧倒的に多く、同じ人数での比較がなされていません。

その為、多少の誤差が生じる可能性がある事を承知しておきましょう。

ちなみに日本産科婦人科学会によると、「開腹子宮形成術」の適応種類にも中隔子宮が含まれており、原因不明不妊症に対して有用であると紹介されています。

中隔を切除すると生児獲得率がアップする!?

流産や早産は、中隔子宮の最大リスクと言っても過言ではありません。

しかも、中隔子宮の女性は「習慣流産」や「反復早産」を経験するケースも多く、何とか問題を解決して今度こそは無事に出産したい!と思うのも当然でしょう。

中隔子宮の治療法としては、子宮の中央部に残っている「中隔」を切除して本来の形状に近づける外科的治療が一般的です。

中隔切除術を受けると、生児獲得率はどの程度アップするのでしょうか?

【 術前術後の胎児獲得率 】
▼厚労省 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

  • 手術の種類:内視鏡的中隔切除術
  • 手術前:61.5%(13名中8名が出産)
  • 手術後:85.4%(96名中82名が出産)
  • 結果:23.9%アップ

▼名古屋市立大学 産婦人科学教室

  • 手術の種類:子宮鏡下中隔切除術
  • 手術前の妊娠率:69.2%(13名中9名が出産)
  • 手術後の妊娠率:86.5%(96名中83名が出産)
  • 結果:17.3%アップ
上記のデータから、中隔子宮の女性に中隔切除を適応すると胎児獲得率がアップすると実証されています。
つまり、それだけ流産や早産のリスクを回避できたという事になりますね。

ちなみに、福井県にある「レディースクリニックつねざわ」によると、子宮鏡を用いた術後の改善率について下記のデータが公開されています。

【 子宮鏡手術による改善率 】

  • 流産率が、15%まで低下した
  • 満期産率が、80%まで上昇した

これだけ結果が改善されるのですから、中隔子宮に対する外科的治療は有効だと判断できますね。

中隔子宮だと帝王切開になる!?自然分娩はムリなの?

妊娠後に中隔子宮と診断され、リスクの高い妊娠期間を無事に乗り越えたとしても、分娩への不安は残るでしょう。

中隔子宮の分娩には、逆子などの「位置異常」や「回旋異常」、「子宮収縮異常」などのリスクが挙げられますが、自然分娩で出産している女性も少なくありません。

但し、妊娠前に開腹手術で中隔を切除した場合は要注意!出産時の陣痛が子宮破裂に繋がる恐れが高いため、予め日程を決めて帝王切開で出産するのが一般的です。

妊娠はできるが流産や早産には要注意!

中隔子宮は、子宮奇形の一種ではあるものの特別な治療を受けなくでも十分に自然妊娠できるタイプと言われています。

中には、中隔子宮と不妊症は関連していないと主張する医療関係者も居るほどです。

その一方で、流産や早産のリスクが高く胎児獲得率が低いという致命的なハンデが指摘されています。

特に、流早産を何度も繰り返し不育症と診断された場合は、中隔を切除する治療を検討してみるのも選択肢の一つですよ。

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