ショートスリーパーは実は危険!短時間睡眠が体に与えるリスクとは

皆さんは一日平均何時間くらい睡眠をとりますか?

人は一般的に一日の3分の一、つまり8時間を睡眠に充てているそうです。

フルタイムで働いている場合、平日就業で拘束される時間が約10時間としたら、残った時間はたった6時間です。

この6時間の間に、朝食、夕食、入浴、日々の家事なども含まれるとしたら、平日はほとんど何もできなくなってしまいます。 

やろうと思っていたことができずに、または終わらずに一日が終わり就寝せざるを得ず、「もっと時間があればいいのに」と思ったことはあるのではないでしょうか?

睡眠時間を削っていても元気に過ごせる人をショートスリーパーと言います

楽しいこと、やりたいことがいっぱいの時は寝る時間がもったいないとも思えます。時間を作ろうと思ったら、睡眠時間を減らすしかなくないですよね。

でも睡眠不足は美容の大敵、また睡眠不足で仕事をやっても疲れて眠くてとっても効率の悪い仕事しかできなくなってしまうのでは本末転倒です。

そんな中で世の中にはショートスリーパーという、ほんのちょっとの睡眠で普通に活動できてしまう人がいるのです。

私たちでも眠らないで済むことはできるのでしょうか。

人は人生の3分の1を睡眠に費やす

人は人生の3分の1を睡眠に費やします。つまり1日に換算すると8時間です。

健康な成人は一晩で6時間から9時間の睡眠を必要とするので、この8時間というのは確かに人間が健康に過ごすために妥当な睡眠時間ですね。

睡眠が体を休息させ、脳を休ませる。睡眠の役割はとても大きなものです。

睡眠が不足すると,私たちはいらいらしたり,眠くなったり,元気がなくなったりして,生活の質が損なわれる。また,場合によっては,生命維持に重大な支障を生じることさえある。睡眠とはこのような状態を生じさせないための機能であり,そのために必要なのであろう。

翌日に向けて疲れをリセットする大切なものというのは、常識であるだけでなく、誰しも日々の生活の中で実感したことがある事実だと思います。

それなのに、まれにこの常識を覆すかのような、睡眠時間が極端に短いのに、至極健康で、おまけに一般的な人より大活躍しているような人がいます。

平均的に人が一に8時間の睡眠時間を要するところを6時間未満の睡眠、一日4時間ほどの睡眠時間で健康に過ごしている人です。

このような人のことをショートスリーパーと言います。

アメリカの多くの人が日々6時間以下の睡眠時間で生活している。だがその大半はショートスリーパーなのではなく、実際必要は睡眠時間を制限し、短時間睡眠にしている人である。結果的に睡眠不足からくる症状に悩まされている。日中に昼寝をしたり、週末や休暇中に寝だめをしたりする。反面ショートスリーパーはそのように睡眠の埋め合わせを必要としない。ショートスリーパーは不眠症とも違う。不眠症の人は眠りにつくのも眠り続けることにも苦労しており、睡眠の質は低い。ショートスリーパーは短い睡眠時間でもまったく問題がなく、質の高い睡眠をとっている。

Short Sleeper – Overview(原文)
Many people in the U.S. sleep less than 6 hours per night. But most of them are not short sleepers. They are simply restricting their sleep so that they get less sleep than they need. As a result they suffer from insufficient sleep syndrome. They take naps during the day or sleep longer on weekends and holidays. In contrast, short sleepers don’t need to try to “catch up” on sleep.

Short sleeping also is different from insomnia. People with insomnia have a hard time falling asleep or staying asleep. The overall quality of their sleep may be poor. In contrast, short sleepers have no complaints about sleep problems. The quality of their sleep also tends to be good.

引用…ショートスリーパー概要(訳文) アメリカ睡眠医学協会 Sleep Education

成功者に多いと言われるショートスリーパー

ショートスリーパーに成功者は多いともいわれます。

確かに、人が睡眠に当てなきゃいけない時間も何らかの生産的な活動ができるわけですから、アウトプットも高くなり、成功率もぐんと上がるののかもしれません。

歴史上の偉人であれば、ナポレオンやエジソンなどがそうでした。

昼夜を問わずテレビに出ずっぱりのような、芸能人にもショートスリーパーで知られる人は多いのです。

全人口の約1%はこのショートスリーパーに該当すると推定されています。

ショートスリーパーは不眠症とはまったくベツ

ショート―スリーパーとは、睡眠時間が極端に短い=不眠症で悩まされる人、または忙しすぎて睡眠時間を削らざるを得ず無理している人とは全く異なります。

後者2タイプが日中の苦痛や、無理や努力があるのに対し、前者、ショートスリーパーは日中に疲労や集中力の低下などの症状が全くありません。

通常の人の睡眠は、脳も休息しているレム睡眠と、体だけが休息し脳は覚醒しているノンレム睡眠のサイクルが交互にやってきて構成されますが、ショートスリーパーの人はレム睡眠の時間が極端に少ないのだそうです。

短時間でぐっすり効率よく眠ってリカバリーができてしまえるのですね。

つまり、例えば忙しくて、またはやりたいことが有り過ぎて、寝ている暇がない、寝る時間が惜しいと考えている人にとってはとても効率よく、または人よりも多くの時間を好きなことに使える羨ましい人々なのです。

ショートスリーパーは運のいい体質なのか?

人よりも使える時間が長くなるショートスリーパーの人々ですが、彼らがショートスリーパーたる所以は生まれつきのものなのでしょうか。

その答えはイエスです。

生まれながらのショートスリーパーの人々には共通してDEC2という遺伝子の突然変異が見られられるのです。

この遺伝子の突然変異の経緯はまだ解明されていませんが、人工的にマウスにこのDEC2突然変異遺伝子を組み込んで通常のマウスとの比較実験を行ったところ、遺伝子を組み込まれたマウスは短い睡眠しかとらせなくとも、通常のマウスより活動的であり、一日で1時間半以上も長くホイールを回し走り続けたとのことです。

ショートスリーパーに共通する特徴として語られるのが、とにかく精力的であることです。

外交的であり野心家であり、「何もしていない状態」など考えられないかのように、あれもこれもと常に活動しているのです。

また別の、ヒトを対象とした比較実験の結果によると、MRI検査により、ショートスリーパーの人は外部感覚情報を処理する感覚皮質と記憶にかかわる海馬の間の接続性が強化されているのが見つかりました。

このため、ショートスリーパーは通常であれば夜の睡眠時間に行われる記憶の統合整理を昼夜を問わず、ちょっとしたタイミングで行うことができるため、夜中にまとめて寝る必要がないのではないかと示唆されるという報告もあります。

つまり、人口の約1%が該当するのではないかといわれているショートスリーパーの人々は、通常の人とは持っている遺伝子も脳のしくみもちょっと違っているのです。

ショートスリーパーになることはできるのか

上述のショートスリーパーの特徴ですが、突然変異した遺伝子はともかく、脳の発達に関わるところであれば訓練でなんとか、近づけるのではないかと、時間がもっと欲しいと思っているような人ならきっと考えることでしょう。

努力で睡眠時間を減らすことは確かにできる。

不運にもショートスリーパー使用の遺伝子を持ち合わせていなくとも、ショートスリーパーのまねごとくらいならできるかもしれません。

いえ、確実にできます。

残業続きで忙しい時など、日々睡眠時間が短くなってしまうこともあります。

それはそれで、体も慣れてきますし、日々の生活に支障も出ていないかのように思われます。

筆者も一時、通勤に2時間かかる会社に朝9時に出社、終電がなくなるからという理由で11時半頃に切り上げ、帰宅するのは午前様、ほぼ5時間後の翌日時前にはまた家を出るという生活を数か月続けたことが有ります。

睡眠時間は日々3時間くらいだったでしょうか。

いかに効率よく質の良い睡眠をとる方法なども組み合わせればショートスリーパーのような生活もできないことはないような気もしますよね。

そして実際に、「ショートスリーパーにはなることはできる」と謳った指南記事も検索すればそこそこ上がってきます。

ですが、基本的に個人差があるとは言え、人間には健康な生活のためには十分な睡眠が必要です。

睡眠時間を減らしてでも、同じように健康な生活がDEC2突然変異遺伝子を持つ幸運には恵まれなかった我々でもできるのでしょうか。

こちらに関しては残念ながら否定的な調査結果があります。

睡眠時間を意図的に短くして行った実験結果

睡眠時間を意図的に少なくして、十分な睡眠をとったときと同じ健康状態を保つことはできるのかということを確認するための実験でした。

21歳から38歳までの健康な成人48人を対象に、睡眠時間を1日4時間、6時間、8時間そして3日間まったく眠らないグループに分けて実験してみたところ、6時間睡眠の人は、きわめて快適で何の影響もないと本人は思っているのですが、いろいろなテストをすると認識能力などの脳を使う活動が2日間徹夜した人と同レベルで落ちているのです。

結局、ある程度睡眠時間を削って、とても快調なようなつもりでいても、実際には、様々なパフォーマンス力が落ちているのです。

ただ少し睡眠時間を減らしたくらいの場合、本人は全く自覚症状がありません。

これでは、睡眠時間を極端に削って疲れを感じている人より日常生活の危険度は増すかもしれません。

睡眠4時間で疲れを感じている人は安全のための車の運転などほかの人に譲って自らはしないかもしれませんが、6時間睡眠で快調なつもりでいる人は、すすんで車の運転もするかもしれません。

実際は運転などに必要な認識力は2日間徹夜した人と同じくらいに低下しているのにもかかわらずです。

筆者が短時間睡眠だった時・・・

筆者にも思い当たることがります。

長年、平均睡眠時間は4-5時間とかなり短眠傾向があり、そのことで何の不都合も感じていなかったのですが、ある日朝が寒すぎるという理由で起きれず、7時間以上寝てしまったのです。

すると、調子が全く違っていました。

普段以上に体が軽く、駅に向かう道、チカチカと赤に変わりかけている信号めがけてダッシュするときの体の軽さが全然違っていました。

つまり、それまで自分で短い睡眠時間で快調であると信じてた状態は特にベストな状態などではなかったということなのです。

努力してなるショートスリーパーには危険が伴うかも?

人は睡眠時間を減らして生活することは確かにできます。

そして必要に迫られて睡眠を削る場合、気合でアドレナリン満々で覚醒状態になり、「まだまだ体力もあるから大丈夫」と思いがちですが、実際は「錯覚」であり、普通の人が睡眠時間を減らすことで被る損失は大きいのです。

上述の実験でも、日常的に睡眠時間を減らすことで起きる損失は、起きて活動している時間が15.84時間を超えると、蓄積され、自覚はなくともかなり大きなしっぺ返しがあると結論付けています。

ヒトの必要な睡眠時間は個人差があるとは言いますが、8時間というのは実は譲ってはいけないところだったのかもしれません。

一般的に睡眠不足によって起きる弊害は次のようなものになります。

健康面

  • 免疫力低下
  • 筋肉疲労による頭痛、肩こり、腰痛の勃発
  • 吐き気やめまいが起きる
  • 便秘
  • 生理不順
  • アレルギー疾患を起こす
  • 食欲増進

美容面

  • 太りやすくなる
  • 吹き出物、しみ、しわなどの肌トラブル
  • 体のゆがみ
  • 老化促進

日常生活面

  • 身体能力・生産性の低下
  • ネガティヴ思考になる
  • 自身喪失

そして睡眠不足は鬱なども引き起こすのは知られた話です。

筆者も大半が思い当たります。自分の体力を過信し、随分と無謀なことをやっていたと反省するばかりです。

ショートスリーパーの人には本当にこのような弊害は起きないのか

ショートスリ―パーの人々は体質が違うのです。

通常人の持っていない遺伝子を持ち合わせているため、ノンレム睡眠が極端に少なく、効率よく機能回復できるのです。

全般的に短時間睡眠者は心臓病や高血圧など循環器系の疾患になりやすいと言われています。

DEC2突然変異遺伝子がそのような傾向も排除しているかまでは今のところわかっていないようです。

ショートスリーパーと頑張って睡眠時間を短くする人はまったく別

睡眠を論じる多くの研究報告に短時間睡眠でも健康的に過ごせる生まれながらのショートスリーパーと、必要に迫られ、または望んで睡眠時間を短くしている疑似ショートスリーパーを区別する重要性を説いています。 

つまり、DEC2突然変異遺伝子を持たない人間がショートスリーパーのまねをして、使える時間を長くしようと考えても、睡眠不足による、認識力の低下など、結果的に代償を払うかのようなネガティヴな影響のほうが、数時間増えた使える時間の有効活用以上に大きいと覚悟した方がよいということです。

ほんの少し睡眠時間を削ったくらいなら人は不調を自覚できないものということを覚えておきましょう。

睡眠不足のツケは想像以上に大きいのです。

筆者もたまたま7時間以上寝てしまった日の体の軽さを実感するまで、5時間弱の睡眠が十二分に足りていると信じていました。

走るのが昔より遅かったりするのはすべて加齢と昔より増えている体重のせい、当然のことだと思っていたのです。

ショートスリーパーはやはり運のいい人、努力してなるのはやめよう

もしあなたがDEC2突然変異遺伝子を持ちあわせるという幸運からはずれていたのなら、ショートスリーパーを目指すことはあきらめましょう。

ないものねだりはしても仕方がありません。そして、質の良い睡眠をとることを考えましょう。質の良い睡眠=短時間で可という考え方もやめた方がよさそうです。

睡眠は健康のためにも美容のためにも大切です。

良い睡眠をとり、健康的になり頭も常にすっきりという状態を目指し、限られた時間を活き活きと暮らすことを目指しましょう。

筆者もこれからはできるだけ睡眠を8時間に近づけるようにしようと思っています。

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