結核がじわじわ流行中!感染拡大させない・しないための対処法

結核というと、昔の病気のイメージをもつ人が多いのではないでしょうか。

昭和初期に大流行し、その後、減少傾向にあった結核ですが、再び感染者が増えていて、1999年7月に「結核緊急事態宣言」が発表されているほどです。

結核は、かつて不治の病と恐れられ、世界で大流行した病気で、日本でも明治の後半から昭和初期に、「国民病」とまでいわれるほど拡がり、多くの人が命を落としました。

その後、衛生面の改善や化学療法の発達などによって、感染者数は減りましたが、
今、再び広がりをみせています。

なぜ、感染者が増えているのでしょうか。

結核はれっきとした感染症です

結核は結核菌が原因の感染症です。

感染経路には、病原体が付着した食べ物などを口にして感染する経口感染や皮膚や粘膜が接触することによって感染する接触感染などがあり、結核は空気感染により感染します。

空気感染(飛沫核感染)とは、患者の咳やくしゃみで空気中に飛散した病原体を吸い込むことによって感染することをいいます。

結核は体内で何十年も生きることができる丈夫な細菌なのです。乾燥に強く紫外線や高温に弱いという特徴があります。

一度、人の体の中に入り込むと、そのまま何十年も生き続け、体の抵抗力が弱り、動き出せるチャンスを待っているとても執念深い細菌なのです。

空気の換気が悪い場所では結核菌が停滞するため、知らない間に感染してしまうこともあります。

しかし体内に入っても発病する人はなんと10~20%

結核菌が体内に入ったからといって必ず発病する(結核になる)わけではありません。

発病する人は約10~20 %で、体の免疫力が強く、結核菌の活動を抑え込んでいる間は発病しません。

何等かの原因で体の免疫力が弱くなると、抑え込まれていた結核菌が活動を始め、発病します。

乳幼児や病人のように抵抗力が落ちていると、感染後6ケ月~数年以内に発病することもあれば、数十年後に発病する場合もあります。

再び、感染が広がっている訳は・・・?

戦後、衛生の改善や医療の発達によって、結核感染の拡大は終息したかのようにみえました。しかし、再び結核の感染が広がっているのはなぜでしょうか。

若者の不規則な生活

若者が集まる居酒屋やカラオケボックス、パチンコ店など空気の流れが停滞しやすい場所で感染率が高いことがわかっています。

夜更かしや偏った食事などの不規則な生活で免疫力が低下していると、発病しやすくなります。

社会的弱者の発病の増加

大都市では、ホームレスや外国人移住者、高齢者のように社会的に弱い立場にある人達の感染が広がっています。

理由として、健康診断を受ける機会に恵まれないことや治療を継続できないことなどが考えられます。

感染したことのない人の増加

今の若い世代は、結核が流行していない時代に生まれているため、結核菌に接触する機会がほとんどありません。

そのため、結核に対する免疫のない人が多く、簡単に感染してしまうのです。

高齢者の発病

現在の高齢者は若いときに結核の感染を受けていた世代です。

加齢に伴う免疫力の低下で、体内に眠っていた結核菌が増殖を始め、結核を発病する高齢者が増えています。

また、発病しても重症化するまで気づかず、介護施設や病院で集団感染を起こすケースもみられます。

薬が効きにくい新しい結核菌の出現も!

治療薬の誤った服用や、症状がなくなったからといって、自己判断で薬の服用をやめてしまうと、体内に残っていた結核菌がパワーアップし、薬が効かなくなることがあります(耐性の獲得)。

複数の薬に対して耐性を獲得した結核菌には、薬を使った治療が難しくなります。

弱いところにつけこむ結核菌

結核は、免疫力が弱い時をねらって増殖を始めます。

乳児期~幼児期
生まれたての赤ちゃんは免疫力が低いので、結核菌に感染すると髄膜炎など重症化しやすいです。適齢期にBCGを接種し、不必要に人混みに赤ちゃんを連れて行かないようにしましょう。
生活習慣病
糖尿病などの基礎疾患があると発病リスクがあがります。
喫煙
喫煙は結核の発病リスクを非喫煙者の2倍以上に高めます。
HIV感染(エイズ)
エイズになると免疫力が低下するため、発病しやすく、また重症化しやすくなります。

そのほか、ストレスや免疫抑制剤治療や等も結核が発病しやすいことがわかっています。

肺だけでなく全身を蝕む結核

結核で最も多いのは肺結核で全体の8割を占めますが、それだけでなく、結核菌は全身どこでも入りこんで増殖し、体を蝕みます。

このように、肺以外で起こる結核を肺外結核といいます。その種類を見ていきましょう。

結核性髄膜炎(けっかくせいずいまくえん)

結核菌が血液中を流れることによって、主に脳低の髄膜(脳を保護する膜)を侵します。

おもに、予防接種を受けていない乳幼児にみられる病気ですが、現在は、成人や高齢者で多くみられます。

発熱、おう吐、頭痛、意識混濁などの症状がみられ、死亡率が高く、後遺症が残りやすい病気です。

頸部リンパ節結核(けいぶリンパせつけっかく)

結核菌がリンパ節の周囲に炎症を起こし腫瘤(コブ)をつくります。痛みを伴い、膿がでたり、潰瘍ができることがあります。

薬による治療だけでなく、外科的な処置が必要な場合もあります。

結核性胸膜炎(けっかくせいきょうまくえん)

胸膜とは、肺を包んでいる膜のことです。

結核菌に感染して起こる胸膜炎を結核性胸膜炎といい、肺外結核で最も多いものです。

胸に水が溜まり、おもに発熱、咳、胸痛、呼吸困難などの症状があります。

骨関節結核(こつかんせつけっかく)

骨や関節に結核性病変ができ骨が破壊される病気です。

骨の関節の結核では、結核性脊椎炎が最も多くみられ、鈍い痛み、運動障害、骨の変形を伴ないます。

粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)

リンパ節や肺の病巣から結核菌が血液の流れに乗って全身を巡り、体の様々な臓器に無数の粟粒状の小さな病巣を作ることから粟粒結核と呼ばれます。

症状は臓器によって様々ですが、高熱がでることが多くみられます。近年、高齢者や基礎疾患のある人の感染が増えています。

腸結核(ちょうけっかく)

結核菌が腸に感染し、炎症を起こす病気です。

喀痰(かくたん)の結核菌を飲み込んだり、血流にのった菌が腸へ感染した時などに起こり、腹痛、下痢、発熱、おう吐、血便などの症状がみられます。

腎結核(じんけっかく)

腎臓に結核菌が感染して起こります。菌が腎臓にとどまっている間は、ほとんど症状はありません。

感染が尿管、膀胱、尿管と広がってくると、腎臓の腫れや排泄痛、微熱などの症状が現れます。

結核の初期は風邪のような症状が続きます

結核の初期の症状は風邪とよく似ているため、風邪と思い込んで放置する人が多くみられます。

咳が2週間以上つづいたり、症状が長引くようでしたら注意が必要です。

  • 2週間以上続く咳
  • 発熱
  • 寝汗をかく
  • 胸が痛む
  • 血痰がでる

発病しないためにできること!まずは予防しましょう

結核を予防するためにできることがあります。

予防することは、自分自身を守るだけでなく、周囲の人に感染を拡げないことへつながります。

予防接種は確実に受けよう

予防接種は、病気の原因となる菌のごく弱いものを体内に入れて免疫をつける方法です。

結核の予防法としてBCG予防接種があり、通常は1歳までに接種することになっています。

これを行うと、結核の発症を約5~7割、髄膜炎のように重傷な病気は約6~8割程度予防することができると報告されていて、接種の効果は10~15年持続すると考えられています。

化学予防

体内に結核菌がいると発病リスクがあり、大きな病気や手術をする際に、動きだすリスクもあります。

この方法は、感染がわかった時に、結核の治療薬を服用し菌をやっつけてしまうのです。

このような治療をすると発病のリスクを2~5割程度に下げられるといわれています。

予防には、一人一人の意識が大切です。咳が出るときはマスクをするなど、社会的マナーを守りましょう。

結核の多くは薬で治療できます

結核の多くは薬で治療します。
指示された薬をきちんと飲み続けることが大切です。

おもに使われる薬は、5種類です。

  • イソニアジド
  • リファンピシン
  • ピラジナミド
  • エタンブトール
  • ストレプトマイシン

これらの薬を複数、くみ合わせて使います。

薬が効かない場合や、副作用がでた場合などは、ほかの薬を使うこともあります。

継続して使用する薬ですので、きちんと説明を受け、副作用などがでた場合はすぐに、医師や薬剤師に相談しましょう。

一人ひとりの意識が感染拡大を防ぎます

結核は、身近な感染症で、治療を行えば治る病気です。

風邪のような症状が長引くときは、疑いの目をもって医療機関を早めに受診しましょう。

結核に感染しないこと、発病したら周囲の人に移さないことが大切です。結核の理解を深め、感染が拡がらない環境を作っていきましょう。

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